そばについてどのくらいのことを知っているだろうか?
地元の素材を使った美味しいおそば屋さんや、駅で食べることが出来る“駅そば”についてなどなど、これまで『山側』でも多くの記事を作ってきた。
しかし、そばを栽培したことはない。
そばの花を見たことはあるが・・・栽培の過程は詳しく知らない。そうなのだ! あれやこれやとそばについて語ってきたくせに、どのようにしてそばという作物ができるのか知らないのだ。
そんなことを、ある方にお話したら「じゃあ、もうすぐうちでそばを蒔くから来る?」という話になった。
声をかけてくださったのは、「飯山かまくら祭り」の取材でもお世話になった、長野県飯山市に住む小林和人(こばやし・かずと)さんだ。
小林さんは、長らく学校の教員を務める傍ら米や野菜などを栽培してきた兼業農家で、そば打ちの腕も一流。自分で育てたそばを使って“10割そば”を打つ。
「でも、うちはそばに関してはあくまでも趣味で栽培しているだけだから、正しい栽培方法なのかどうかはわからないよ」と小林さん。
全然問題ない。だって、そもそもそばは、信州では昔から各家庭が日常食としてそれぞれが栽培してきた身近な作物であり、ゆえにその家の育て方で全然オッケーだと思うからだ。
「じゃあ、朝早くに来てね。そうだね4:30頃からはじめようか?」
というわけで、8月上旬、早朝の飯山にお伺いした。
畑へと向かう
この時期の飯山は緑でいっぱいだ。
長野県飯山市は、千曲川の県内最下流部である飯山盆地を中心に広がる長野県北部の都市で、江戸時代には飯山藩の飯山城を中心に発展してきた城下町だ。古くから日本海と信州を結ぶ交通の要衝であり、県内屈指の豪雪地帯としても知られる。
今回そばを蒔く畑は、JR飯山線の飯山駅から新潟方面へ向かった2つ目の駅である信濃平駅が最寄りで、千曲川の西岸に位置する。
畑は既に小林さんによってきれいに耕されており、雑草1本生えていない。
そば好きの方ならご存じかもしれないが、全国的に見るとそばの収穫期は夏と秋の2回あり、それぞれ収穫した時期で「夏そば」「秋そば」と呼ばれる。
特に秋に収穫したそばは「新そば」とも呼ばれており、そばの栽培に適した条件(昼夜の温度差が大きく、日中の気温も高くなり過ぎないこと)であることから、はずれが少なく美味しいそばが実るということだ。
つまり、今回栽培するのは夏に種を蒔き秋に収穫する「秋そば」ということになる。
そばを蒔く前に、小林さんが事前に畑を手入れした際に畑の中に集めてあった雑草をかたづける・・・しかし、畑はとてもきれいに手入れされているので、他に準備することは特に何もない。
・・・なんか、おいしいところだけ体験させて頂き恐縮してしまうが・・・よろしくおねがいします!