長野県内にある個性的すぎる“駅そば店”をアーカイブする企画『信州の駅そば全店制覇の旅!』。今回は番外編として長野県信濃町の「そば処 ふじさと」の駐車場に設置されている、そば・うどんを販売する「レトロ自販機」をレポートする。
そば店の駐車場にそば・うどんの自販機!?
今回訪れたのは、駅そば店ではなく・・・ちょっとややこしいが、そば店の駐車場に設置された“そば・うどんを販売する自販機”だ。
この昭和の時代にタイムスリップしたようなレトロな風貌をもつ自販機が設置されているのは、長野県信濃町の国道18号線沿いに立地する「そば処 ふじさと」の駐車場だ。
国道18号線は、群馬県高崎市から碓氷峠を超え、長野県軽井沢町、小諸市、上田市、長野市などを経由し、新潟県上越市へと至る国道で、かつての中山道と北国街道の道筋とも重なる、歴史のある幹線道路だ。
旧碓氷峠にある「熊野神社・本宮」は長野県と群馬県の県境に鎮座している!?訪れたのはちょうど昼時で、サラリーマン風の人が乗った社用車や、農家の軽トラック、建設作業員風の方々が乗り込んだ2トントラックなどが、次々と駐車場に車を駐めてレトロな自販機でそばやうどんを購入していく光景が見られた。
長岡ナンバーの大型トラックの運転手さんが、慣れたようすでコンビニで買ったと思われるおにぎりを片手に、そばをおいしそうにすすっていたので話しかけてみると、毎日上越市と長野市を2往復しているとのことで、トラックを駐めることもできるし、そばもおいしいので頻繁に利用していると教えてくれた。
この自販機、労働者達の胃袋を支えるたくましい存在であることがわかってきた。では、実際に購入してみることにしよう!
やはり、年代ものの自販機ということでトラブルも多いのかもしれない。訪問時はお店がお休みだったので、後日電話にてお伺いしてみると
- 自販機は30年以上前に設置したもので24時間稼働
- 長野県内で唯一稼働中のそば・うどんを提供するレトロ自販機
- コイン投入口の調子が悪く、10円玉を使用禁止にしている。土地柄、寒さによる故障も多い
- 天ぷらはそば店で揚げたものを使用し、商品は毎日補充している
ということだった。なるほど、今となってはとてつもなく貴重な自販機というわけだ!
購入するようすを動画でも撮影してみた。ニキシー管のカウントダウンがかっこいい。そば・うどんの完成までは25秒。自販機の中で調理している(麺を湯切りしている)音が聞こえる。
では、いただきます!
そばとうどんは、どちらも柔らかめのゆで麺でコシの強さは感じられないが、ツルツルとおいしく頂ける素朴な味。しかし、ツユは出汁の香りがしっかりと感じられる本格派で、なんともやさしい味わいだ。
天ぷらは、タマネギをメインとした手作り感満載の小ぶりなかき揚げで、干しエビの食感と香りがうれしい。シンプルでやさしい麺とよく合う。チープな味わいではあるが・・・B級感というか駄菓子感が満載でとてもうまい。
そういえば、さっきの大型トラックの運転手さんは、そばと一緒におにぎりほおばっていたが、そば・うどんの量は「ほどほど」といった感じなので、がっつり食べたい人は常連さんの高等テクニックをマネしてみるのもいいかもしれない。
ごちそうさまでした!
終わりに
コンビニがない時代に普及した食品・スナックの自販機たち。
そば、うどん、ラーメン、ハンバーガー、トースト、弁当など種類も豊富で、ロードサイドにあるドライブインやゲームセンター、高速道路のPAなどにかつては数多く設置されていたが、時代の流れと共に多くの自販機はその役目を終えた。
「そば処 ふじさと」のレトロ自販機は長野県内で稼働する最後の1台だ。30年以上この地で頑張っている自販機に、チャンスがあったらぜひ会いに行ってみて欲しい。
店舗情報
- そば処 ふじさと
住所:長野県上水内郡信濃町穂波184-5
電話番号:026-255-2867
営業時間:11:00〜17:00(自販機は24時間営業)
定休日:水曜日
駐車場:あり
アクセス:上信越自動車道 信濃町ICから車で約10分
最寄駅:しなの鉄道・北しなの線 古間駅から徒歩で約6分