長野県上田市の「犀の角」で演劇の“上田合戦”がはじまる!「上田街中演劇祭」

記者発表会で鬨の声(?)を上げる関係者

長野県上田市は県の東部に位置し、長野市、松本市に次ぐ県内3番目の規模をもつ都市だ。

戦国時代には、上田城を中心に“六文銭”の家紋でも有名な真田氏の城下町として栄え、徳川氏を2度に渡って撃退した「上田合戦」の舞台としても知られる。江戸時代になると千曲川とほぼ平行する旧北国街道の宿場町としても発展を続けた。

現在では、北陸新幹線を利用することで東京へ1時間あまりでアクセスできること、そして豊かな自然や温泉に恵まれており、さらに街中に残る歴史や文化が魅力となって県外からの移住者も多い街だ。

そんないにしえの歴史を色濃く残す上田市の“街中”で演劇を中心とした大規模なイベント「上田街中演劇祭2018」が、2018年9月15日から11月11日までの約2ヶ月間開催される。

「上田街中演劇祭2018」とは?

「上田街中演劇祭2018」のポスター

上田街中演劇祭2018を主催するのは、地元の芸術文化の支援に取り組む団体である「シアター&アーツうえだ」だ。

会場は同団体が運営するシアター&ゲストハウス「犀の角(さいのつの)」を中心に、さまざまな個性的な空間において、演劇作品の公開やイベントなどが開催される。

旧北国街道沿いの海野町商店街に立地する「犀の角」

パンフレットと一緒にパチリ

犀の角の対面にある「スタジオ セブンツー」も会場のひとつ

銭湯の倉庫をリノベーションしたという「26bldg.(ニィロクビルジング)」

ノキロソーコ(ノキロ信州上田店隣)。どの会場も犀の角から徒歩でアクセス可能

シアター&アーツうえだの代表である荒井洋文(あらい・ひろふみ)さんによると、演劇祭のメイン会場となる犀の角がオープンしたのは2016年9月。そして、上田街中演劇祭の開催は今年で3回目になるとのこと。

記者発表会で演劇祭の概要について説明する荒井さん

上田街中演劇祭2018では、県外の優れた舞台芸術作品を紹介する「招聘公演」(5演目)や、長野県内で活躍する劇団による「地域劇団公演」(2演目)、アーティストが商店街に滞在して市民らとともに作品をつくる「アーティストインレジデンス」(3演目)、上田市と世界が直接つながる「国際交流公演」(1演目)の4つを柱として、バラエティ豊かな演目(※詳細は記事末を確認して欲しい)が2ヶ月間繰り広げられる。

記者発表会では、各作品の代表者によるディスカッションも行われた

演劇祭の掲げるコンセプトは3つあり「驚き、違和感、居心地の悪さとの出会いを」「一線で活動する劇団と地域の劇団が同じ土俵で共演」「中心市街地の活性化」というものだ。

中でも、「驚き、違和感、居心地の悪さとの出会いを」というコンセプトは、荒井さんの演劇へ対する姿勢そのものであり、「好き」とか「居心地のよさ」という既存の価値観を疑ってみることで見えてくるものを受け入れ、新たな「出会い」を生み出したいという志が込められているそうだ。

2017年に開催された演劇祭での一コマ

終わりに

歴史ある城下町・上田にて2ヶ月に渡って繰り広げられるのは、まさに“演劇の上田合戦”。お客さんを含めたさまざまな人たちが、お互いにせめぎ合うことでしか見えない瞬間を体験しようではないか。

関連情報

概要

「上田街中演劇祭2018」
日時:2018年9月15日(土)〜11月11日(日)
会場:犀の角、26bldg、スタジオセブンツー、ノキロソーコほか
主催:一般社団法人シアター&アーツうえだ
後援:上田市(平成30年度長野県地域発元気づくり支援金活用事業)

問い合わせ

一般社団法人シアター&アーツうえだ
Tel.0268-71-5221 mail:info@sainotsuno.org
長野県上田市中央2丁目11-20

スケジュール

  • 作品名:『つつじの乙女』
    劇団名:三条会(東京都葛飾区)【招聘公演】
    演出:関美能留
    日程/会場:9月15日(土)〜16日(日)/26bLdg.(ニィロクビルヂング)
    料金:一般2,500円、ペア4,000円、学生1,500円
  • 作品名:『熱海器物破損事件』
    劇団名:犀の角演劇クラブ(上田市) 【地域劇団公演】
    作:ミスター
    演出:仲田恭子(アートひかり)
    日程/会場:9月15日(土)〜16日(日)/犀の角
    料金:一般1,500円、ペア2,000円、学生1,000円
  • 作品名:『ソコナイ図』
    劇団名:dracom(大阪府吹田市) 【提携公演】
    作・演出:筒井潤
    日程/会場:9月29日(土)〜30日(日)/スタジオ セブンツー
    料金:一般2,500円、ペア4,000円、学生1,500円
  • 作品名:『伯爵令嬢小鷹狩掬子の七つの大罪』
    劇団名:演劇実験室カフェシアター(長野市) 【地域劇団公演】
    作:寺山修司
    演出:中沢清
    日程/会場:9月29日(土)〜30日(日)/犀の角
    料金:一般2,000円、ペア3,000円、学生1,000円
  • 作品名:『鹿踊りのはじまり』
    劇団名:白井ゆみ枝(上田市)【アーティストインレジデンス】
    作:宮沢賢治
    演出:白井ゆみ枝+仲田恭子(アートひかり)
    会場:ノキロ倉庫
    公演日:10月7日(日)〜9日(火)
    公開製作:9月14日(金)〜9月23日(日)
    料金:一般1,500円、ペア2,000円、学生1,000円
  • 作品名:「演劇ワークショップでアジアの農村をつなぐ〜フィリピンと日本の棚田をめぐる物語〜」
    (フィリピン)【国際交流】
    構成:コーディリエラ・グリーン・ ネットワーク(CGN)
    日程/会場10月13日(土)〜14日(日)/犀の角
    料金:一般・学生1,000円
  • 作品名:『昔話メドレー』
    劇団名:お芝居デリバリーまりまり(東京都東村山市) 【招聘公演】
    日程/会場10月13日(土)〜14日(日)/海野町商店街路上(13日)、ノキロ倉庫(14日)
    料金:無料(海野町商店街)、料金:一般1,000円、学生500円
  • 作品名:『ぐぅちょっぱ劇場』
    劇団名:NPO法人 あそひ環境Museum アフタフ・バーバン(東京都三鷹市) 【招聘公演】
    構成・演出:北島尚志
    日程/会場10月14日(日)/犀の角
    料金:一般・学生500円
  • イベント名:72時間トークイベント 復活!信州の学海「いま、<創造>するとは?」
    【アーティストインレジデンス】
    トークゲスト:石神夏希(劇作家)、井関大介(東洋大学研究助手・非常勤講師)、鞍田崇(哲学者、明治大学理工学部准教授)、桜井肖典(社会藝術家)、中川周士(木桶職人)、星野太(美学/表象文化論)、陸奥賢(観光家/コモンズ・デザイナー/社会実験者)、武藤大祐(ダンス批評家、群馬県立女子大学准教授、振付家)
    ホスト:岸井大輔(劇作家)、熊倉敬聡(文化実践・評論家)
    日程/会場10月18日(木)〜21日(日)/犀の角
    料金:一般・学生500円
  • 作品名:『土砂降りボードビル』
    劇団名:まつもと市民芸術館レジデントカンパニー TCアルプ(松本市) 【招聘公演】
    演出:TCアルプ
    日程/会場10月27日(土)〜28日(日)/犀の角
    料金:一般2,500円、ペア4,000円、学生2,000円
  • 作品名:『熱海殺人事件〜長野県バージョン〜』
    劇団名:アートひかり(上田市)×二口大学(京都市) 【アーティストインレジデンス】
    原作:つかこうへい
    演出:仲田恭子(アートひかり)
    出演:二口大学、水嶋義人(劇団ACT MAFIA TOKYO BOWZ)、杉山雅紀、木内琴子(SPAC)日程/会場11月10日(土)〜11日(日)/犀の角
    料金:一般2,500円、ペア4,000円、学生1,500円