長野県木曽町の「ふらっと木曽」を託された2人の奮闘記!これからの中山間地域での生き方や働き方とは?

好きな場所で生きる

ーー都会から木曽町に移って、今ここで働いていて楽しい事って何ですか?

西尾:私は前の仕事を辞めて、この仕事に就いたこと自体がまだ新鮮なので毎日が楽しいです。でも仕事とプライベートが混じり合っているような感じもあります(笑)

坂下:そうですね。暮らしと仕事の垣根は全然ないですね(笑)。 たぶん地域で仕事をしているとそうなるのかな? とも思いますけど。

商店街にある空き店舗を見学させてもらう

ーー都会から地方に移ると、最初は何もかもが新鮮じゃないですか? でもだんだん慣れるし目新しさもなくなっていきますよね? そういった中で何か心境の変化はありましたか?

坂下:私もちょうど去年の秋に思ったんですよね。「紅葉めちゃ綺麗!」って。でも、そういえば一昨年もそう思ったよなぁ・・・と思い出して。そして「こういう気持ちって何年続くんだろう?」と考えていたところです(笑)

一同:(笑)

西尾:そのうち慣れる(笑)

空き店舗は、木曽谷の狭い土地を有効に使うために床を崖に張り出して建築する「崖家造り(がけやづくり)」で建てられていた

西尾:私にとって木曽町は、生まれてから18年間を過ごした場所であって・・・それなりにはわかっているんですけど、 やっぱり田舎特有の地域の濃密さみたいなものはあるので、そういうのはちょっと嫌だなと思う時もあります。

坂下: そうですね。そういう“濃いコミュニケーション”を楽しめる人じゃないと、ちょっと辛いとは思います。まあ、楽しめる人でも嫌なことはあるかもしれないし。

西尾:どっちがいいかはわからないよね。

坂下:うん。まあ、合う合わないはあるとは思いますけど、私は楽しんでます。

崖家造りの店内には・・・やはり崖がある!

ーーでも、“好きな場所で生きる”というのは、何かしら指針がないとなかなか実行には移せないと思います。

坂下:答えになっているかわからないんですけど、日常的に感じている違和感に対して1日だけでもいいから生活を変えてみるとか・・・そういう考え方もありかな? と思います。自分を見つめ直す時間を持つというか ・・・私も大阪で暮らしてる頃は、ちょっと違和感を感じていましたし。

崖に穴を掘って作ったスペースは、かつて貯蔵庫として利用されていたそうだ

ーーそれは、どういった違和感ですか?

坂下:会社に守られながら、大量消費社会を支える1人の人間として自分も働いているということ・・・自分の中に蓄積されるモノが少ないという違和感がありました。これから自分の中に何が残っていくんだろう?」と考えた時に、「何も残っていかないかも・・・」とすごく感じて。そんなこともあって移住したという側面もあると思います。

毎日忙しくても木曽は自然がすごく近いので、1日休みがあれば高原に行ってぼーっとすることもできるし、そういう時に「私は何をしたいんだろう?」と、ナチュラルに自分と向き合える時間と環境が持てるのはとてもいいなと思っています。

崖を登るための階段がいたるところにある

西尾:確かに坂下さんの言う通り、私も東京にいた頃は仕事に対して違和感を感じていました。また、そういう気持ちに敏感でありたいという考え方も同じだと思います。前職では働き過ぎでいろいろあったので・・・そんな時に、お金のためだけに働いていくということに疑問を持ったのだと思います。

 

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