
キッチン南海といえば定番の「カツカレー」
神田神保町は“夢のグルメタウン”!?
常に腹ペコだった。
男性の10〜20代前半とはそういう時期なのかもしれない。とにかくやたらと腹が減るのだ。そしていつもいつも「喰いたいなぁ・・・」と夢見ていたメニューといえば、揚げ物と山盛りのご飯であり、カツ丼とラーメンであり、そしてカレーならば絶対にカツカレーだ。
しかし、それらは滅多に食べることができなかった・・・お金がなかったのだ。筆者の場合は、特に上京直後は極貧だった。
当時、東京都内のアパートを男数人で借りて共同生活をしていた。その日常的な食事といえば・・・パスタを大量にゆでそれぞれが勝手に醤油やソースで味付けする「調味料パスタ」。山盛りのご飯にマヨネーズと醤油をかけて食べる「マヨ醤油ご飯」。具がもやしだけの「もやし炒め」などであり、さらに、本当に困窮すると水に溶いた小麦粉を焼いた「お好み焼き・プレーン味」なる食べ物で餓えを凌いだ。
そして給料日。いくらか懐が暖かくなると・・・チェーン店の牛丼や近所の定食屋さんの焼肉定食がごちそうだった。涙が出るほどうまかったよなぁ・・・
しかし、やがて東京の生活にも慣れ大都会のルールやら構造がわかってきたところで、筆者にとっての“夢のグルメタウン”を発見した。それが千代田区神田神保町だ。
神保町といえば、出版社や書店、スポーツ用品店の集積地としても知られるが、安くてうまくてガッツリ食事ができる名店の宝庫でもある。

在りし日のとんかつ「いもや」
なかでも通いつめたのは、天丼の「いもや」と、とんかつの「いもや」(どちらのお店も2018<平成30>年3月に惜しまれつつも閉店。悲しい)、そして「キッチン南海」だ。
神保町にあるキッチン南海の本店は、1960年代から続く街を代表する洋食店であり、カレーや生姜焼き、揚げ物などのガッツリ系のメニューを提供する老舗だ。このお店の名物はなんといっても「カツカレー」だろう。
そして、神保町・本店から“暖簾分け”されたお店も数多くあり、都内を中心にさまざまな場所でその味を提供している。お店によって、メニューや味付け、価格はそれぞれ異なるものの「キッチン南海クオリティー」ともいうべき、ガッツリ&庶民的なお店であることに変わりはない(ちなみに筆者は本店のほか、下北沢店や、駒場店、向ヶ丘遊園店などにもよく行った)
そんな、10〜20代前半の筆者にじゅうぶんな栄養を供給し、胃袋を鷲づかみにしてきたお店が、長野県松本市にもあるという。これは行かなければ!