ホームでそばをすすれる“伝統的”駅そば店
駅のホームに立地する駅そば店といえば、出入り口があり室内で食べる“店舗形式”のお店も多いが、ホームでそばをすすることができる、“オープンエア形式”がやはり伝統的な佇まいなのではないだろうか?
しなのは、“オープンエア形式”のトラディショナルな駅そば店だ。
また、しなのの店舗前には小さなテーブル付きのベンチもあるので、座ってそばをすすることも可能だ。
“オープンエア形式”のいいところは、到着・出発・通過する列車やホームを行き交う乗客を眺めながらそばをすすれることだと思う。というか、そういった旅情こそが駅そばの醍醐味なのかもしれない。
しなのが立地する場所は、「特急しなの」が出発するホームであり(だから店舗名が「しなの」なのかも・・・)、実はちょっとした裏技も利用できる。
駅弁もいいが、「特急しなの」の車窓から流れゆく景色を楽しみつつ、そばをすするのも格別ではないだろうか?(いつか実現してみたいものだ・・・)
では、メニューを見てみよう。
さて・・・何にしようか?
店員さんに食券を渡しつつ「そばで」とお願いすると「しばらくお待ちください!」と元気な声が返ってきた。
1分ほど待っただろうか?「お待ちのお客様〜!」と声がかかる。
ツユは黒っぽくまぎれもない関東風だが、見た目ほど醤油の味は強くなく、やさしくまろやかな味。冬の冷たい空気が充満するホームで、ほかほかと湯気が立ち続ける。
そばは、注文されてからお湯で温める“ゆでめん”だが、実に駅そばらしくておいしい。信州だからって何も生そばばかりが脳じゃない。天ぷらとツユによく絡み三位一体の味を作り出す。
天ぷらのコロモは薄めで、ごぼうの天ぷらはツユに温められ徐々にほぐれていく。きんぴら風に刻んであるので、そばと一緒に違和感なく口の中へと吸い込まれていくのが爽快だ。ちくわは太くぽってりとして柔らかい「ビタミンちくわ(※長野県で愛される、石川県産のちくわの商品名)」タイプ。
ふーあったまるなぁ・・・と、丼を持ったまま顔を上げると、7番線を貨物列車が通過していった。
ガタンゴトンと響く音を聞きながら、ホームでそばをすする幸せを噛みしめた。
終わりに
「信州蕎麦処しなの」は、店構え、メニュー、味、価格のすべてから「これぞ! 伝統的な駅そば店」と評価できるのではないだろうか。
店舗情報
- 信州蕎麦処しなの
住所:長野県長野市・長野駅
店舗の位置:改札内(在来線6・7番ホーム)
電話番号:026-225-7840
営業時間:7:00〜19:50
定休日:無休