「オビさん(筆者のこと)。諏訪に行ったら『ハルピンラーメン』に行くといいよ。きっと“好みの店”だから」と知人に言われていた。なんでも、そのお店は古くから営業しており、独自の味を持つラーメンはファンも多く「諏訪のソウルフード」とも評されているとのこと。
この場合の“好みの店”の意味するところは、お店に個性があって、気取っておらず、質実剛健。近隣に住む人からこよなく愛されるような店のことだ。
「ハルピンか・・・」
ハルピン(哈爾濱)市は、中国東北部にある黒竜江省の都市で、実は長野県とも歴史的にゆかりが深い都市だ。
ハルピンというと、歴史の授業で習う「ハルピン駅で伊藤博文が暗殺される」という事件を思い浮かべる方も多いと思うが、長野県から、かつて「満洲国」と呼ばれたその土地に全国最多の3万3千人が移民として渡ったそうだ(筆者の祖父母も渡った)。
敗戦後、帰国するのは相当大変だったようで、祖父は建築士であったが現地の方に餃子の作りかたを習ってそれを販売することで、帰国の日まで数年持ちこたえたと聞いている。
その餃子を祖父母は「満州餃子」と呼んで、小さかった頃の筆者にもよく作ってくれた。
こんな個人的な思い出のせいだろうか、ハルピンという名前になんとなく郷愁の念を覚えてしまった。「ハルピンラーメン」も、もしかしたら何か意味があって付けられた名前なのかもしれない。
いざ「ハルピンラーメン本店」へ!
その日、筆者は昼食に「ハルピンラーメン」に伺うことを念頭に置き、岡谷・諏訪でのスケジュールを全力でこなしていた。
しかし、気がつけば時刻は15:00に近い。微妙な時間だ。お店は営業しているだろうか? 当然ながら腹はペコペコ。早く食べたいが・・・やっていなかったらどうしよう? しかし、いまさら他のものなんて思いつかない・・・
とにかく「ハルピンラーメン 本店」に伺ってみることにした。
場所は中央自動車道の諏訪ICから車で5分ほど。国道20号線・諏訪バイパスからほど近くにある。日曜日ということもあるのか周辺の道路はかなり混雑していた。
15:00という時間にも関わらず、駐車場はほぼ満車だった。果たして店内はどんな感じなのだろう?
ドアを開けてお店の中に入ってみると・・・
待合席もすべて埋まっていたので、「どうしたらいいのかな?」と思いつつ、店内を見回すと・・
しかし、思っていた以上にお店の回転は早く、10分ほどで待合席のお客さんもすべてカウンター席へと案内されていった。
さて、待合席に座ってゆっくりと店内を眺める。
メニューは、「ハルピンラーメン(650円) 」と「ニンニクラーメン(650円)」、「醤油ラーメン(550円)」の3種類が基本メニューのようだ。うん。シンプルでとても“好み”。
それぞれに「チャーシューメン(400円増)」と「大盛り(100円増)」、「寝かせニンニク玉子入り(150円増)」があり、「替え玉(麺のおかわり・150円)」もできる。
ご飯ものは、「ライス、半ライス(200、100円)」、「豚飯(ぶためし)、子豚飯(こぶためし)(300、150円)」がある。
また、このメニューには掲載されていないが、スペシャルなラーメンもある。
“解説”を要約すると・・・
- 「ハルピンラーメン 」と「ニンニクラーメン」は、独特の風味で「ピリッ」と辛い味
- さまざまな材料を使い4年間(※)(ニンニクの香りもほとんど残らないほど)寝かせたタレを使用
- タレは(比重が)重いので丼の底に沈んでいる
- 食べる時は、丼の底のタレとスープ、麺をからませるように食べる
(※店内に貼ってあった他の掲示物の情報も含む)
ってなことらしい。ふむふむ。4年間寝かせたタレか・・・期待が膨らむ。