「長野えびす講煙火大会」は生まれた場所を離れてから知った“故郷のすごい花火”

そして花火がはじまる!

時刻が18:00になるとカウントダウンとともに、県歌『信濃の国』のBGMにあわせて紅屋青木煙火店と信州煙火工業による「個人協賛特大スターマイン」の打ち上げがはじまった(ここで、記事の冒頭にも掲載した動画を再度貼り付けておく)

しかし、この花火では『信濃の国』は4番までしか使用されていない(『公式プログラム』に掲載されている歌詞も4番までだ)

金武さんに、『信濃の国』が6番まである歌であることを伝えると、30年近くこの花火大会に通う彼が「え! そうなの!?」と驚いていた。

確かに長い曲だけど・・・ぜひ、フルコーラスを使った花火にしてほしいと願う(個人協賛する人が増えれば可能なのかも・・・)

続いて「十号玉新作花火コンテスト」がはじまる。

工夫を凝らした十号玉が次々と上がっていく

夏場の花火とは異なり、空気が澄んでいるため花火の色がより映える

最優秀賞を受賞した「輝光黄金花」(撮影:矢野きさらぎ)

全国屈指の花火師が参加する中、最優秀賞を受賞したのは長野県諏訪市の小口煙火による「輝光黄金花」だった。

現在の「長野えびす講煙火大会」では、スターマインがプログラムのメインとなっているが、筆者の子供の頃は、単発花火の打ち上げがもっと多かった気がする。今回の『公式プログラム』で確認してみたところ、41の花火のうち実に32がスターマインだった。

そんな中で、創意工夫に満ちた花火を1発ずつ打ち上げる「十号玉新作花火コンテスト」は、個人的にもとても好きな花火だ。あとは、単発の大玉花火があるとさらに嬉しいのだが・・・

と言いつつも・・・

紅屋青木煙火店によるミュージックスターマインは、繊細にして新しい技術が“これでもか!”と注がれており見応えたっぷりだった。

しかし、この時期の長野の野外の寒さは半端ではない(土手にこたつを持ち込んでいる人もいた)

ふと子供の頃に、実家の窓からえびす講の花火を家族で見たことを思い出す(花火が見える立地だった)。西宮神社の宵えびすにも連れて行ってもらったなぁ・・・などとちょっと感傷的になりつつカメラのシャッターを切っていく。

きれいだなぁ

色もカラフルだし

形もいろいろ

緻密な花火たちに酔いしれる

そして、今度は信州煙火工業によるミュージックスターマインがはじまる。

下部の扇と上空の花火の組み合わせが絶妙だ(撮影:齊藤 聡)

屋台の明かりを写真の下部に取り入れるのが、えびす講でのお約束!(撮影:山田春子)

そしてクライマックスは、紅屋青木煙火店と信州煙火工業による「八号玉100連発特大ワイドスターマイン」。花火が打ち上がる範囲がとても広く大迫力だ。

打ち止めは「特大スターマイン十号玉十五発一斉打」。ちょっと“わびさび”を感じさせる花火を最後に上げるところが“長野っぽい”かもしれない。

終わりに

生まれた街を離れて知った“故郷のすごい花火”。取材してわかったのは、花火とその地に住む人々とは切っても切れない関係にあるということ。

少しだけでもそうした事実を知ることで、また違った意識で“現在自分が暮らす場所の花火”を楽しむことができるのではないだろうか。

最後に、素晴らしい写真を提供してくださった、矢野きさらぎさん、齊藤 聡さん、山田春子さん(※掲載順)そして、金武 武さんに感謝!

花火が終わったあと、満月の光があたりを照らしていた

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