故郷のすごさは、その場所で生まれたからとか、その場所に住んでいるからといってわかるものではない。
筆者は長野県長野市生まれだ。しかし、生まれた場所で暮らした期間よりも長い間、違う場所でさまざまなコンテンツを制作することを生業として生活してきた。
そんな中で、1冊の本を作る際に出会った人がいる。そして、その方に“故郷のすごい花火”について教えられた。
それが写真家の金武 武(かねたけ・たけし)さんだ。
金武さんは、花火写真の第1人者で、さまざまな撮影技法を駆使したクオリティーの高い作品を創り続ける一方、日本各地における花火の歴史や特色、技術の変遷などにも造詣が深い。
本の制作過程において、筆者が長野出身であることを知った彼に「ぼくは、長野県歌『信濃の国※』を唄えますよ!」と言われたことがある。
長野県歌『信濃の国』
ほぼすべての県民が唄える県歌として知られる。歌詞では、長野県の地理や山河、産業、名勝、著名人などを紹介している。
「え!? 何で? 金武さんって生まれも育ちも横浜でしょ?」と問いただすと、「ぼくは『長野えびす講煙火大会』にはもう30年近く通ってますから」と一言。
そしてこう続けた。「それだけの価値がある花火大会なんです」
「長野えびす講煙火大会」では、『信濃の国』をBGMにした「個人協賛特大スターマイン」が花火大会の冒頭を飾る。つまり金武さんは何度も何度も長野へと通ううちに、長野県歌まで覚えてしまったということなのだ。
2017(平成29)年の秋、筆者は活動拠点を長野に移した。つまり地元に戻ったわけだ。そして、金武さんに教えられた“故郷のすごい花火”について詳しく知りたくなり、これまでに2本の記事を作った。
お寺の墓地でミュージックスターマイン!?長野県長野市の「久保寺観音」 花火の火の粉が降りかかる!長野県長野市の犀川神社「秋季例大祭宵宮祭り」がすごい!そして今年、つまり2018(平成30)年の秋「第113回長野えびす講煙火大会」にて金武さんと再会することになったというわけだ。