限界集落にアーティストが集まる!?長野市・旧中条村「中条アートロケーション《場》」

「中条には何も無い・・・地元の人はそう言うんですけどね」

「なんで中条なの!?」この話をはじめて聞いた時の率直な感想だ。

長野県上水内郡中条村(かみみのちぐん・なかじょうむら)は、“平成の大合併”にともない、2010(平成22)年に長野市に編入した、かつて長野県北部にあった小さな村だ。

長野県内には、“キャラが立っている村・旧村”が多い。旧中条村の周辺をみても、ウインタースポーツで有名な白馬村、近年パワースポットとしても注目を集める“そばの里”旧戸隠村、山国信州の中でも特に“山村”として知られる旧鬼無里村や旧美麻村。合併を拒み独自の道を進む小川村・・・

これらの地域に比べると、旧中条村にはそれほど強い個性は無い。近年知られるようになった“おやき”や、“西山大豆”(豆腐・味噌)などの名物もあるが、これらに関しても、小川村の方が有名かもしれない。

人口減少や高齢化も加速している。2009(平成21)年には、村内の高校「中条高等学校」が「長野西高等学校」の“分校”となった。

しかし、そういう場所に、新たな“場”を作ろうとしている人たちがいる。

県道長野大町線沿いにある古民家がその舞台だ

「中条アートロケーション《場》」は、古民家を改装し、アーティストの工房を作るプロジェクトだ。作品の制作現場を見学することもできるという。さらに多目的スペースやカフェも設置し、演劇や音楽、ライブペインティングなどのイベント会場としても活用する。また、県内外や国外のアーティストがここに滞在し、作品を制作するための居住スペースも併設するということだ。

こちらが居住スペースとなる別棟

このプロジェクトに対し「中条アートロケーション《場》」は、クラウドファンディング(※インターネットを使い、不特定多数の人々から資金調達を行い、商品開発や事業などを達成する仕組み)を実施。多くの賛同者を集め200万円の目標金額を突破した。現在は、2018(平成30)年5月5日のオープンに向けて、急ピッチで改装作業を進行中だ。

しかし、なぜ中条なのだろう? そこには何か理由があるはずだ。ということで、改装中の古民家にてお話を伺ってきた。

 

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