諏訪湖の“御神渡り”がその名の起源!?長野県岡谷市「豊島屋」の「神渡酒蔵開き」

日本酒の製造現場“酒蔵”を見学する

「大試飲会」でいい感じになったところで、今度は酒蔵を見学させて頂く

いつもは「関係者以外立入禁止」だが、今日は特別

酒蔵の奥へと進んでいくと・・・

巨大なタンクがいくつも並ぶ。この中にお酒が入っているわけだ・・・1個欲しい

黒光りする使い込まれた階段を登る

酒蔵はかなり歴史がありそうな建物だが、建物内部には最新の設備が導入されており、そのことからも、歴史のある建物を最大限に活かしたいという酒蔵の意図を感じた。

麹室(こうじむろ)の入り口付近には神棚と・・・

『仕込み歌』が貼ってあった!・・・というかこれは、お客さんが作った“酒蔵開きの歌”かな?

ちょっと引用してみよう。

と 杜氏の技と伝統が
し 染み込む旨さ「神渡」は
ま 迷わず選ぶ酒の王
や 山の恵みに湖の幸
み 「神渡」の里 華やいで
わ 輪になり集うにぎやかさ
た 太鼓 餅つき 試飲会
り 隆昌招く蔵開き

なかなか素敵な歌である。

巨大な「蒸米機(じょうまいき)」。大量の米はお酒になるとその総量は半減するそうだ

麹室の内部。壁に掛かる巨大な温度計を確認しながら作業する

女性(!)の蔵人、細金(ほそがね)さんが案内してくれた

細金さんもそうだが、豊島屋では多くの若い蔵人たちが働いているそうだ。あとでWebサイトを確認してみると、以下のような記載が目を引いた。

若い蔵人達が新たな感性で酒造りにチャレンジする清酒「神渡」
伝統とトレンドを融合した、お客様と対話する酒造りを目指しています。

なるほど。でも、具体的にはどのような取り組みを行っているのだろう?

後日、筆者の質問に答えてくれた林さんによると、「2014(平成26)年に、経済産業省の地域産業資源活用事業計画の認定を受け、今まで進めてきた米生産者との連携をはじめ、長野県産米に特化した酒造りを進めています。また、蔵人と呼ばれる製造スタッフも、20代30代の若い感性を活かした酒造りを行っております」ということだった。

この日に蔵で作られたという原酒をいただく。骨太な味わいだった

「地域産業資源活用事業」とは要するに、国が地域の資源を有効に活用する企業を応援する取り組みだ。

豊島屋では「新たな製造技法を活用し、ふなくち(※お酒の素となる“もろみ”を絞る際に「槽(ふね)」と呼ばれる絞り器を使う、いわば手間がかかるお酒)の味わいを残した、長野県産のお米を使った清酒を開発して製造・販売をする」ということで認定を受けたということだ。

そして、林さんが中心になって作り出した「豊香」とはどのようなお酒なのか? と伺ってみると、「限定流通ブランドとして地酒専門店のみで販売しており、心地の良い豊かな香りと、長野県産米の優しい味わいが特徴のお酒です」ということだった。

資料館に掲げられていた神渡の看板

また「未来の豊島屋のお酒を今後どのようにしていきたいか?」とお伺いすると、「信州の地酒として、次の世代へ繋げていけるようにできればと考えております」ということだった。

お忙しいところ質問にお答え頂いた林さんに感謝! 今回の質疑応答はメールにて行われたが、もし機会があるようなら、もっと突っ込んだお話しも聞いてみたいと思った。

終わりに

天候にも恵まれ、たくさんの人が訪れた「第17回 神渡酒蔵開き」。美味しいお酒を味わうお客さんたちはみんなニコニコで、幸せすぎるイベントだった。

「豊島屋資料館」もとても興味深く、収蔵品を細かく見ていくと豊島屋のことはもちろんだが、地域の歴史やかつての経済のようすもうかがい知ることができてとても面白かった。

青空に酒蔵が映える。うーん。気持ちのいい1日だった

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