諏訪湖の“御神渡り(おみわたり)”をご存じだろうか?
御神渡りとは、長野県にある最大の湖、諏訪湖が冬期に全面結氷したあと、氷の厚さが一定以上に達し冷え込みが続くことによって、湖面の氷が大音響と共にのこぎり状の亀裂となって盛り上がる現象だ。
御神渡りは、この地に鎮座する諏訪大社・上社の男神である建御名方神(たけみなかたのかみ)が下社の女神・八坂刀売神(やさかとめのかみ)へ会いに行った道とされており、その亀裂の方向や大きさによって、その年の天候や、世相、農作物の豊作・凶作を占う神事が行われる。
2018(平成30)年2月には、その御神渡りが5年ぶりに出現し、ニュースなどでも盛んに報道されていたので、覚えている方も多いのではないだろうか?
そして諏訪には、その御神渡りの名前を冠した日本酒がある。それが「神渡(みわたり)」だ。
豊島屋の「神渡」とは?
「神渡」は、1867(慶応3)年に創業した長野県岡谷市の株式会社豊島屋が醸造する、諏訪を代表する日本酒の銘柄の1つだ。その名前は前述した通り諏訪湖の御神渡り(おみわたり)に由来する。
今回の取材は、2018(平成30)年4月21日に行われた「第17回 神渡酒蔵開き」を見学させて頂いた上で、筆者が豊島屋の酒造部・部長である林 慎太郎(はやし・しんたろう)さんにいくつかの質問をさせて頂き、後日回答して頂いた内容をまとめたものだ。
「第17回 神渡酒蔵開き」では、神渡の製造工程を見学することができる「酒蔵開き」をはじめとして、製造元のさまざまな資料が所蔵された「豊島屋資料館」の公開、そして、この時期に飲むことができる全製品が提供される「大試飲会」など、盛りだくさんの内容だ。