“夜鳴き蕎麦”から続く「ふくや」
“夜鳴き蕎麦”とは、“夜鷹(よたか)蕎麦”とも言い、夜間、屋台で売り歩くそば、またはそば屋のこと(参照:小学館『大辞泉』)とある。
知人に聞いたところによると、ここ「ふくや」も元々は、戦後、屋台からスタートしたお店とのこと。今では長野市内に2店舗を構える老舗のラーメン店だ。
些細なことだが、青い看板には「夜泣きそば」、正面の看板は「夜なきそば」、営業時間を知らせる看板では「よなきそば」と書かれており・・・すごく気になってしまう。・・・本当に些細なことだが。でもでも・・・
メニューは極めてシンプルだ。基本は「中華そば(800円)」と「中華そば生卵入り(870円)」のみ。それぞれ大盛り(プラス150円)にすることも可能だ。
トッピングは「きざみネギ(50円)」「ゆで玉子(70円)」「メンマ(400円)」「チャーシューこまぎれ(300円)」「チャーシュー3枚(400円)」がある。
ご飯ものは、数量限定のチャーシューを使った炊き込みご飯「ふくめし(380円)」。
「ふくや」は、セルフサービスとなっている。券売機で買った食券を、お店の方に渡すと番号札を手渡され、ラーメンが完成するとその番号が呼ばれるので、カウンターまで自分で取りにいく。
店内にはカウンター席もあるが、テーブル席メインのレイアウトで結構広い(席数42)。雰囲気としては“昭和の食堂”といったたたずまいだ。
そして、窓の外の風景は・・・
「・・・台風の日には、この景色はどうなっちゃうんだろう!?」
などと、しばらく川が作り出した景観についてあれこれ考えを巡らせていると・・・
「8番でお待ちの方!」とのお声が!「はいっ!」
ではいただきます!
濃口醤油と豚ガラで作ったと思われるスープは、見た目にもかなり濃い色で黒っぽくも見える。味は醤油感が強いが、塩辛いわけではなくコクがあるのにすっきりとしており、野菜の甘みもほのかに感じる。・・・なんだかほっとする味だ。
スープには油も結構入っているのだが、油っぽくは感じない。全体的に、味は濃いめなのだが今時のラーメンのように尖った部分はなく、あくまでも穏やかでまろやかなスープ。
中細の縮れ麺は、スープとよく絡み相性抜群。ゆで加減はちょっと柔らかめだが(個人的にはもう少し固くてもいい)、食感はつるつるでやさしいのど越しだ。
チャーシューは、ほろほろと柔らかく味がよく染みこんでこのラーメンには必要不可欠な存在だと感じる。メンマはコリコリの食感で、海苔とネギは、いいアクセントになっている。
生たまごはお店が「スープとの相性抜群」というだけあり、醤油感が強いスープが一気にマイルドテイストに激変するスペシャルアイテム。これは、途中まで割らずに食べると“2度おいしい”と思うのだが、もしかしたら、最初から割って食べるのも潔いのかもしれない。
ふー。堪能させていただきました。ごちそうさま!
終わりに
食べ終わって、お店の外に出ると年配のお客さんがいたので、お話を聞いてみると「もう30年は通っている」とのこと。
「しばらく食べないと、また食べたくなっちゃうんだよね!」と笑っていたが、まさに、地域に根ざした実に“いい感じ”のラーメン店だった。
さて、帰りは裾花川の対岸の土手を行ってみようか・・・
店舗情報
- 店名:ふくや 妻科店
- 住所:長野県長野市妻科31-1
- 電話番号:026-234-0384
- 営業時間:11:00〜20:00
- 定休日:月曜日
- アクセス:上信越自動車道 長野ICから車で25分
- 最寄駅:JR長野駅から徒歩27分(約2.2km)
- 駐車場:7台