芭蕉や広重も愛でた月!?長野県千曲市の“月の名に立つ姨捨山”で「皆既月食」が見たい!

「日本三大車窓」の姨捨駅

長楽寺から500メートルほど坂を登っていくと・・・

JR篠ノ井線「姨捨駅」がある

姨捨駅は、風光明媚な駅として全国的に知られており「日本三大車窓」の1つにも数えられている。また、数少ないスイッチバック式の駅としても有名だ。

下り(長野)方面のホームから

線路を越えて

上り(松本)方面のホームへ。駅名表示の看板が“スイッチバック”を表現している!

長楽寺から少し上がっただけだが、随分見える景色が変わる

展望案内図。芭蕉の句とスイッチバックの路線図が目を引く

善光寺平方面。夜景も期待できる

実際のところ、姨捨駅から眺める夜景は大人気で、話題のクルーズトレイン「四季島」や、長野駅〜姨捨駅間を走る「ナイトビュー姨捨」など、臨時の観光列車も夜景を楽しむためにこの駅を目指してやってくる。

姨捨駅には「四季島」専用のバーラウンジが存在する

そして、姨捨といえば知っている方も多いと思うが「歳をとった親を山の中に捨てなければならなくなる」という、いわゆる「姨捨伝説」も有名だ。その昔話が駅にも掲示されていた。

「年寄りの大嫌いな殿様」って・・・

この看板には「家の中に隠しておいた結果、年寄りの経験が役に立った」的なストーリーが記載されていた。

しかし、「山へ息子が親を捨てにいく道中、『自分を捨てた後、帰り道に迷わないように』と、親が木の枝を折って所々に落とし、目印を付けていたことに息子が慟哭し、我に帰って親を連れて帰った」という話もあったように思う。

個人的には2つ目の話がせつない。

これらの昔話や、ホームの展望案内図に書かれていた「おもかげや 姨ひとりなく 月の友」という芭蕉の句に、しんみりと思いを馳せていると特急がやってきた。

おお!「しなの」だ。かっこいい! この列車で子供の頃、大阪まで行ったっけ。


名古屋からやってきた「特急しなの」は、スイッチバックせずに姨捨駅を通り過ぎる

姨捨駅からも月はよく見えそうだ。しかし、駅であるということ考えれば、他人に迷惑になるようなことは慎まなければいけない。まぁ、月を見ているくらいで怒られはしないだろうけど・・・

姨捨公園へ

駅から長楽寺方面へ向かって歩いていると、気になる看板を発見した。

姨捨公園? 行ってみよう!

遮断機がない踏切が素敵だ

前方が駅。列車が通った跡はない。駅で列車は折り返すため、ここまで入ってこないのだ

さらに進むとまた踏切。こちらは駅を折り返してきた列車が走る

姨捨公園への入り口

公園には東屋がある

鏡台山方面。月が昇る方角だ

善光寺平方面。うん、ここはすごくいいかも!

姨捨公園には、数日前にまとまって降った雪もたくさん残っており、寒そうではあるがゆっくりと皆既月食を観察するのなら、ここはいいかもしれない!

ということで、観察する場所のアタリもつけたので、あとは良い天気が続くことを祈るのみである!

皆既月食について

さて、肝心の皆既月食の予報だがどのようになっているのだろう?

国立天文台の発表によると、日本全国で見ることができるとても条件の良い皆既月食であるということだ。

月は20時48分に欠け始め、21時51分には完全に欠けて皆既食となります。皆既食が1時間17分続いた後、23時8分には輝きが戻り始め、真夜中を過ぎた0時12分に元の丸い形となります。
多くの方にとって比較的観察しやすい時刻に起こる月食です。(国立天文台ホームページより引用)

2008年1月31日の皆既月食のようす(画像:国立天文台ホームページ

皆既月食は、月が完全に地球の影に入り込む事で起こる天文現象だが、その間、月が真っ暗になって消えてしまうわけではなく、“赤銅色(しゃくどういろ)”と呼ばれる、赤黒く光る月がぼんやりと光る。

そんな、月の姿を“月の名に立つ姨捨山”で見たら、どのように見えるのだろう?

準備は万端! あとは晴れてくれることを祈るのみだ

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