長野駅から善光寺までが遠い!「善光寺七福神巡り」でその理由を解明する

長野駅前の“如是姫像”は2km先の善光寺を見つめる

善光寺って長野駅から歩くとそこそこ遠い。

その距離は約2kmで、徒歩20〜30分くらい。バスもあるし、近くの駐車場まで車で行く人も多い。でも、そもそも“なぜもう少し近くに駅を作らなかった?”のか。実はそこには深い意味があるらしい。

今回の記事のキーワードは、数字の「7」「18」「48」である。・・・はい?

これらは、長野駅と善光寺を“結ぶ”数字なのだ。知っておくことで徒歩でも退屈することなく、より意義深く善光寺参りを楽しめる・・・と思う。

善光寺七福神巡り

まずは「7」。これは七福神のこと。

珊瑚、金銀、宝石などの財宝を積み込んだ宝船に乗ってやってくる神様たち。これほどご利益がありそうな絵柄もそうはあるまい。

1784年(天明4年)に描かれた宝船(画像:Public domain, via Wikimedia Commons)

宝船に乗る神様たちは、恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、布袋、福禄寿、寿老人。ちなみに、カレーに欠かせない“福神漬け”は、7種の材料を用いたことから七福神にちなんで命名されたそうだ(・・・どうでもいいが)

諸説あるが、七福神が現在のような形で定着したのは江戸時代で、所願成就などのご利益を求めて、庶民の間でも“七福神巡り”がたいへん盛んになったといわれている。

そして現在では、観光面においても地域の寺社を巡るのに格好のプランということもあり、全国各地で盛んに巡拝されているそうだ。そして“善光寺七福神巡り”もそのひとつ。

“善光寺七福神巡り”は、長野駅から善光寺へと続く表参道界隈に祀られている七福神を巡るもので、専用の色紙(800円)を購入し、各寺社で御朱印(スタンプ・各100円)を頂きながら、最後に番外として善光寺でも御朱印(200円)をいただくというもの。

まずは七福神巡り! ということで、色紙を入手するために長野駅へと向う。

長野駅善光寺口

駅の2階にある「長野市観光情報センター」

“善光寺七福神巡り”で使用する色紙は「長野市観光情報センター」で手に入れることができる。ちなみに、七福神巡りで参拝することになる寺社「一番 西光寺」「六番 西宮神社」「七番 善光寺世尊院釈迦堂」でも購入可能だ。

今回は長野駅からスタートするためこちらで購入したが、それぞれのプランに合わせて都合のいい場所で買えばいいだろう。

色紙はビニール袋に入っている。『長野市街散策案内』も頂いた

袋には色紙と、パンフレット『善光寺七福神巡り』が同封されている

『善光寺七福神巡り』を拡大撮影。どのように巡礼すればいいか一目瞭然だ

御朱印の受付時間は8:00から16:00まで。所要時間は標準的な目安として1時間20分ほどと案内されている。出発時間には注意しよう。

丁石と灯篭

そして、今回は七福神を巡拝しつつ、“丁石(ちょういし)”と“灯篭”も併せてたどってみたい。

“丁石”とは、ざっくり説明すると“善光寺と長野駅の距離を示す道標”だ。

十八丁碑の由来
明治二十一年(一八八八年)信越線、直江津・長野間が開通いたしました。

この時長野駅を何処に造るかは、大変な問題で、当時の関係者が「善光寺の街」との基本構想を考えました

阿弥陀如来さまの立てられた四十八の本願の中でも、第十八願は王本願と言われ、心から念仏を称えた人はすべて救ってくださるという願です。そこでこの十八願にちなみ、善光寺から十八丁の場所に駅舎を建築されたと伝えられます。

一丁はおよそ一〇九mで、長野駅から善光寺までの参道沿いに一丁ごとに石碑が並び、長野駅から善光寺までが十八丁(二km)であることを表しています。「一丁」「二丁」は善光寺境内になりますが、石碑は設置されていません。

(引用:『十八丁碑の由来』より ※文字強調は筆者)

長野駅の構内にある『十八丁碑の由来』

なるほど。そういう“いわれ”があってこの場所に長野駅ができたわけだ。「駅から歩くとそこそこ遠い」とか言ってる場合じゃないかも・・・これはぜひ、一丁ごとの石碑=丁石もたどってみたくなる。

そして“灯篭”について。

戦後、表参道沿いの商店街にアーケードが設置されるまで存在していたという灯篭だが、長く失われていたそうだ。

しかし、2009(平成21)年の“善光寺の御開帳”に合わせて、灯篭(24対48基)の復元に着手。広く寄付も募ったとのことで、2012(平成24)年にすべての設置を終えた。その数は、もちろん阿弥陀如来が立てた四十八の本願に由来する。

というわけで、七福神の「7」丁石の「18」灯篭の「48」。これですべての、数字が出揃った。とてもご利益がありそうではないか!

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