芭蕉や広重も愛でた月!?長野県千曲市の“月の名に立つ姨捨山”で「皆既月食」が見たい!

稜線に月がぽっかり浮かぶ。ここで皆既月食を見たい!

長野県民の多くが歌えることでも有名な県歌『信濃の国』。

この歌を、子供の頃に覚えた方ならご理解いただけると思うが、はっきり言って、歌詞の意味を「よくわからないまま覚える」ことになる(筆者だけ?)。

知らない方に説明させていただくと、『信濃の国』は、現在使われている日本語より“少し古い”言葉使って、長野県の地勢、名所、特産品、偉人などを紹介する県歌だ。

しかし、子供ながらに「よくわからないまま覚える」にもかかわらず、時がすぎ、歳を重ね、学び、経験し、さまざまな場所に行くなど見聞を広げることで、だんだんと「ああ、そういうことだったのね」と、歌詞の内容を理解できる仕組みになっている(・・・と個人的には思っている)。

でも、そう考えると末長く楽しむことができる素敵な歌だよね!

県民のマストアイテム「長野県民手帳」にも、もちろん掲載

そんな『信濃の国』の歌詞の中(4番)に、こんな一節が出てくる。

“月の名に立つ姨捨(おばすて)山”

折しも、2018(平成30)年1月31日は、この地でも皆既月食を見ることができるそうだ(晴れれば)。

これまで筆者は姨捨で月を見たことが無い。
ならば、“月の名に立つ姨捨山”で皆既月食を見ようではないか!

「姨捨」ってどんな場所なの?

まずはおさらい。

「姨捨(田毎<たごと>の月)」は、長野県千曲市にある国が選定した名勝で、『万葉集』にも詠まれた平安時代からの“観月の名所”だ。

江戸時代からは棚田(たなだ)が多く作られ、月が昇り、水を張った形の異なる“田んぼ1枚ごと”に、その姿が映しだされる風景は「田毎の月」と呼ばれ、松尾芭蕉や小林一茶などの多くの俳人たちも訪れ、句を詠んだそうだ。

というわけで・・・

やってきました姨捨へ。まずは、この地の中心的な存在「長楽寺(ちょうらくじ)へ」

長楽寺近くの「姨捨観光会館」に広い駐車場がある

駐車場にある「姨捨眺望マップ」がわかりやすい

長楽寺の本堂(正面)と月見殿(右)

観音堂と後ろに見える大きな石は「姨石(おばいし)」。周りにはたくさんの句碑がある

ちなみに、浮世絵師の安藤広重もこの地を訪れており、千曲川を挟んだ鏡台山(きょうだいさん)の上に輝く満月をバックに、長楽寺と姨石、棚田に映る月を描いている。

安藤広重「六十余州名所図会」より「信濃 更科 田毎月 鏡台山」(画像:国立国会図書館蔵)

姨石には、登ることも可能だ。果たしてどんな風景を見ることができるのか?

長楽寺の裏手から回り込んでいくと

石の上が見えた! 祠(ほこら)がある

さて、石の上からの風景は・・・

いいね! 中央・奥に見える高い山が浮世絵にも描かれた鏡台山だ。手前の右手に見えるのが・・・

姨捨の棚田。この時期、田んぼに水は無く月は映らないが・・・

雪の積もった棚田を初めて目にしたが、とても美しい。

この場所なら、月もよく見えそうだが足場もそれほど良くないし、雪もあるので状況によってはかなり危険かもしれない。

ということで、姨捨駅の周辺も見ておくことにしよう。

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