長野県小諸市のゲストハウス&カフェ「読書の森」で『カンタ!ティモール』を想う

映画『カンタ!ティモール』そしてトークショー

広田監督の挨拶を皮切りに上映会がスタートした

『カンタ!ティモール』は、東南アジアの国、東ティモールの独立をめぐるドキュメンタリー映画だ。2002(平成14)年、広田監督が23歳の時に独立直後の同国を訪れ、路上で歌を唄うアレックスという青年に出会ったことがきっかけとなり映画の制作を決意。結果、取材過程でその国の歴史と向かい合うことになっていく。

東ティモールでは、1977年(昭和52)年から、24年間に渡りインドネシアからの攻撃により壮絶な苦難を受け続け、国民の3人に1人の命が失われた。しかし、人々は屈すること無く、また敵を憎むことも無く戦い抜き独立を勝ち取る。そこには東ティモール人の気高い精神があった。

しかし、この事実は日本ではほとんど報道されなかったばかりか、世界中がインドネシアの非人道的な行為を非難するなか、日本はインドネシアの最大の支援国として経済的に支え続けたそうだ。

丁寧な取材を積み重ねることで物語は進行していくが、そこで語られる内容はショッキングで、非常に重い。しかし、全編にわたり重要なモチーフとして“歌”が流れ続ける。そしてその歌は、映画を観る者の心の中にも「真摯に生きていかなければ」という前向きな気持ちを広げていく。ちなみに映画のタイトル『カンタ!ティモール』の意味は「うたえ!ティモール」だ。

「機会があったら絶対に観た方がいい」。これが筆者の感想だ。

映画の終了後は広田監督と、作品を監修した南風島さんによるトークショー

南風島さんは、東ティモールでの紛争時に実際に現地で取材を続けた、数少ない日本の報道写真記者で、多面にわたって広田監督をサポートした。紛争時に撮影した貴重な映像も、作品の中で重要な役割を果たしている。

トークショーでは、当時23歳だった広田監督の無鉄砲ともいえる行動力に巻き込まれていくまわりの人たちの話、映画をつくるきっかけにもなったアレックスとのその後の交流について(※2017<平成29>年11月9日心臓発作で急逝)、配給会社を通さずに上映会を続けるわけなどが語られた。

この日「読書の森」で行われた『カンタ!ティモール』の上映会だが、同じように世界中で雄志による上映会が続いている。そして、誰でも開催することが可能とのこと。小規模な上映会でも歓迎しているということなので、興味を持った方は、ぜひ問い合わせてみて欲しい(※問い合わせ先は記事末に記載)

終わりに

強い気持ちをもって作られた作品と場所とが、偶然ではなく必然的に結びつく。そして、そこに人が集まりその強い気持ちが伝わっていく。上映会からの帰り道、そんなことを考えながら覚えたばかりのアレックスの歌を口ずさんだ。

またこの場所でこの映画を観たいな

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