クラフトフェアのさきがけ
新緑がいよいよ濃い緑に変わっていく5月下旬。長野県松本市には、全国から280組を超えるクラフト作家たちが集まる。陶芸、木工、染織、ガラス、金属、皮革などの、さまざまな個性あふれる作品を展示・販売するイベントである「クラフトフェアまつもと」が開催されるからだ。
今では日本各地で開催されるクラフトフェアだが、1985(昭和60)年にはじまったクラフトフェアまつもとは、その“さきがけ”的存在であり知名度も抜群だ。イベントが開催される毎年5月の最終週の土・日曜日には、イベントに参加するお客さんたちもまた全国から集結する。
城下町・松本は江戸時代からモノづくりが盛んだった場所であり、戦後になると思想家である柳宗悦(やなぎ・むねよし)が唱えた「民藝運動」(※暮らしの中で利用される工芸品の中に美を見出し活用する運動)に共感した人々によって、さらにこの地では活発に工芸品が制作されるようになった。
こうした歴史的背景もあり、クラフトフェアまつもとというイベントがはじまったともいえる。そして、2007(平成19)年からは、毎年5月を「工芸の5月」と定めて、クラフトフェアに加え、美術館、博物館など70の会場で企画展が開催されている。
クラフトフェアまつもとのメイン会場は「あがたの森公園」だが、周辺には駐車場も少ないため、徒歩、バス、自転車での来場を推奨している。
ちなみに、松本駅からあがたの森公園までは、約1.5km・徒歩で20分ほどの道のりだ。これは松本市内を見物しながら、ぶらぶら歩いて行くのにちょうどいい距離なのだ。