移住の先駆者!長野県上田市・別所温泉の「アースワークス」が切り開いてきた道とは?

2代目(現在)のアースワークス・ギャラリー

2人は、ギャラリーを続けるために物件を探した。そして、初代アースワークス・ギャラリーの3件隣にあった、かつて牛乳屋さんだったという、ボロボロの空き家に目をつけたのがロベルトさんだ。

「私は『え! やめようよ! こんなところやめようよ!』と言ったんだけど、ロベルトは『これは直しがいがあるぞ!』と腕が鳴ったみたいで(笑)

そして、1年がかりで建物を改装し、樹木なども植え完成したのが、現在のアースワークス・ギャラリーだ。

現在の「アースワークス・ギャラリー」に掲げられた木彫りの看板

しかし、ロベルトさん・・・ただ者ではない。現在までにいったい何棟改装してきたのだろうか・・・そして、その技術は独学なのか? と伺うと「独学です。古いものが好きだし、こだわりがあるから他の人に頼むのが嫌なんじゃない?(笑)」とルミさんは笑う。

2代目アースワークス・ギャラリー・・・つまり現在のギャラリーは、以前よりスペースが広くなり、2階も使用できるようになったとのことで、他の作家さんの展示や企画展なども開催できるようになった。

ルミさんも「これでやっと落ち着いた」と思ったそうだが・・・

ギャラリーには所狭しと作品が並ぶ

「でも、これまでの経験もあって、可能であればギャラリーが入居する建物と、その土地を買い取りたかった」ということで、ギャラリーのすぐ裏の古民家に住む大家さんにお願いしたそうだが断られたとのこと。

「私たちもお金は無いし・・・まぁ、いいか」と思っていたそうだが、時は過ぎ大家さんは50代の若さで亡くなられた。

ゲストハウスをはじめる

その後、大家さんが住んでいた古民家はしばらく空き家となっていたそうだ。

「3年ほど経ってからかな? 大家さんの妹さんに『空き家と一緒にギャラリーが入る建物も解体するから立ち退いて欲しい』と言われて・・・」

ルミさんは、ギャラリーが入居する建物と、その土地だけでも売ってほしいと交渉したそうだが「空き家まで含めて1つ土地だから、買うのなら全部買って欲しい」ということで「迷ったけど、これですべて終わりだし・・・」と決心。借金をして、それらすべてを購入したそうだ。

さまざまな用途・デザインの陶器がある

空き家は、解体することに決めていたそうだが、解体業者との打ち合わせも済み、あとは壊すだけという段階でニューヨークに住む息子さんから電話があったという。

「息子が一言『ロベルト、あの空き家はゲストハウスにすればいいよ』と言ったわけ。私は『嫌だ。お金もかかるし、壊して駐車場にすればそれでいいよ!』って言ったんだけど・・・」

「ロベルトは『・・・そうか!』って、その気になっちゃって。そのうち息子も帰ってきて改装を手伝いはじめるし(笑)」

「もう、これ以上忙しくなるのは嫌だったんだけど・・・それからの1年半は大騒ぎだった。でも、みんなで同じ釜の飯を食べて、改装している時は楽しかったですね。多くの職人さんや業者さんにも関わってもらって改装を進めました」と当時を振り返る。

ゲストハウスはギャラリーの裏手にある

「ゲストハウスの名前は『アースワークス』。ギャラリーと同じ名前にしました」ということで、完成したのは2017(平成29)年1月。「借金を返すに当たっても、早くここで稼がなければ!」と、すぐにWebサイトを使い宣伝を開始する。

「最初は全然反応が無かったけど、春ぐらいからお客さんが増え始めて、夏には予約でいっぱいになりました。でも、私たちは個展も開催しなければならないので、予約を受け付けていない時期もあります」ということだ。

ゲストハウスの外観

泊まりに来るお客さんについて伺うと「Webサイトで、世界中から“自分が滞在してみたい宿”を探して、このゲストハウスにわざわざ来てくれる海外からのお客さんがほとんどです」とのこと。

「そういう強い動機を持って、世界中からお客さんが集まるのでそれはすごく面白い」。そんな、旅行者たちの“日本を見たい・感じたい”という前向きなエネルギーは、2人の創作の活力にも繋がっているそうだ。

ゲストハウスのリビングルーム。右側は畳敷きになっている

別所温泉の新しい風

ルミさんによると、別所温泉の周辺には面白い人たちも増えてきているという。

「そういう意味では、私たちも元々外から来た人間だし・・・移住してきた人や、地元から1回外に出て帰ってきた人・・・つまり、外の空気を吸った人で『この場所がいい!』と選んで来た人は“強い”と感じますね

ゲストハウスのインフォメーションスペース。カードやパンフレットが置かれていた

「温泉街は、今ちょっと元気が無いけれど、移住してきた人の中にはイベントを開催して若い人たちを、パッと集める力を持っている人もいる」とのことで、そういう人がもう少し増えれば、街の空気が変わるとルミさんは考えているそうだ。

「これは、あくまでも私の希望だけど、これからの別所温泉は、もっと若い人たちにも開放して、移住者も受け入れる体制を作るべきだと思う」

「セールスポイントとしては、上田から東京への移動時間は、今や新幹線で1時間30分でしょ?『東京に出かけて、その日のうちに帰ってこれる通勤圏内だよ』って、私はそういう誘い方をしています(笑)」と語ってくれた。

ゲストハウスのキッチンスペース

 

次のページは >> アースワークスの現在と今後・・・そして