香川県が“うどん県”なら長野県は“そば県”!?長野県大町市・旧美麻村「美郷」で「大ざる」

冷たくみずみずしいそばを堪能する

店内は、カウンター席とテーブル席、小上がり席がありなかなか広い。それでも、曜日やシーズンによっては、すべての席が埋まり、空きを待つことも珍しくない。

テーブル席とカウンター席

小上がり席がもっとも多い

さて何を食べようか。実はすでに決まっているが・・・一応メニューをチェックしておこう。

シンプルなメニュー

美郷のメニューを大まかに分けると「冷たいそば」「温かいそば」「うどん類」「ご飯類」となる。オススメはなんといっても「ざるそば」だ。

「ざるそば」は、そばの量によって「大ざる(900円)」「ざる(700円)」「小ざる(500円)」を選ぶことができる。メニューには「大ざるはチョット量が多いのでご注意ください」と書かれており頼もしい(?)

「あれ!?『天ざる』はないの?」と思った方もいるかもしれない。実は、美郷の「ざるそば」は、天ぷら(山菜の天ぷらが1個)が標準装備だ。

「温かいそば」「うどん類」を選ぶ場合は、山菜、月見、かき揚げ天、かき揚げ天玉のうちから何を載せるか選べばいい。

しかし「ご飯類」の「カレーライス(500円)」が異彩を放っている。常連さん向き?

・・・もし、自分がこの地で働き、週に数回この店を訪れることができるとしたら「・・・『かけそば小(650円)』と組み合わせてみようか?」などと、想像するのも楽しい。

メニュー裏側。「そばうすやき」や「そばがき」もある

ということで、ここは思う存分にそばをたぐり、すすりたいので「大ざる」を注文。と、同時にお茶と漬物が出てくる。接客は極めてフレンドリーだ。

野沢菜と大根の酢漬け

おかわり自由なそば茶

漬物とそば茶がじんわりとうまい。ホッとしたところで気がつく。テーブルの上には・・・

「大人用 皆様の声をお聞かせ下さい」ノートが・・・子供用は見当たらなかった

ノートに書かれたメッセージを読みつつ、ほのぼのとお茶をすするひと時

前述した通り、美郷で「ざるそば」を頼むと天ぷらがついてくるが、それに対する感想が書かれており興味深い。

「天ぷらは、くわのみと山ぶどうの葉。とっても美味しく頂けました」とか「初めてタンポポの葉を食しました」「天ぷらはアシタバだった」などと書いてある。

「・・・今日は何の天ぷらかな?」と、期待が膨らむ。

そばつゆ、薬味(ネギ、わさび、大根おろし)が先に出てくる

店内に貼られた「中山高原」の写真。隣には「おすすめはざるそばです」との張り紙が

中山高原は美郷から車で約3分、徒歩で約10分ほどの場所にある風光明媚な観光スポットで、NHKの連続テレビ小説『おひさま』のロケ地になった場所だ。

春には菜の花が一面に広がり、背景にはまだ雪が残る北アルプスの山々を望むことができる。8月下旬〜9月中旬には、そばの白い花が咲き誇りやがて「新そば」季節を迎える。

「・・・新そばの季節にまた来たいなぁ」などと考えていると、

「大ざる」が到着!

天ぷらは・・・何だろうこれ?

お店の方にお聞きすると天ぷらは「なずな」とのこと。春の七草でも有名なやつだ!(なずなとペンペン草が同じものだと、今回初めて知った。ちょっとショック)そして・・・

「そばのうすやき」が付いてくる

そば猪口にタレと薬味を投入

実にうまそうなそばである

美郷のそばは二八で、長さや細さがバラバラなのが特徴。麺の中にそばの外殻がはっきり見えるが、色は白っぽく透明感も感じる。

では、いただきます!

・・・ふー。うまい・・・間違いない。

まず、きちんと冷たいそば。きれいな冷水を使ってキュッと締めてあるのがよくわかる、とてもみずみずしい。そばをすすると、ほのかに香りが立ち適度な甘みも感じる。コシは強く喉越しは爽快。

タレは辛めでコクがあり、こちらもちゃんと冷やしてあるので“冷たいそば”とベストマッチする。

「冷たいものは冷たく、熱いものは熱く」これって食べ物の基本。で、思うに、麺の細さや長さが異なることで、タレとそばの混じり具合が変化し、味にリズムを産んでいるようにも感じる。

なずなの天ぷらは実にそばと合う。個人的には、冷たいそばをたぐっていると、ちょっとでいいから天ぷらが食べたくなる。なので、美郷の「四季の山菜の天ぷら1個載せ」は、素晴らしい心づけだと信じて疑わない。

「大ざる」の量は「うまいそばを思う存分に食べたい!」という方にはうってつけ。筆者は“前のめり”に食べ続けたが、ゆっくり食べていたらちょっときつくなっていたかも・・・

ということで完食!「おいしいそばを堪能した」という充足感でいっぱいになる。

そして「そばのうすやき」をいただく

「そばのうすやき」は、そば粉をクレープ状に焼いたもので表面には甘みがある辛味噌が載せてある。食感はもちもちとしており、デザート的においしくいただいた。

濃いそば湯をそば猪口に注ぐ

そば湯は、ドロドロで濃くそばの風味が強い。さっぱりとしたみずみずしいそばを食べた後に飲むと、そのコントラストに思わず笑みがこみ上げる。

タレもまだたっぷり残っているので、そば湯も好きなだけ堪能することができる。うーん! 至れり尽くせり。

ごちそうさまでした!

終わりに

記事の冒頭に書いた“そばの原点”について。つまり、筆者のそれは美郷のそばということになる。

厳密に言うと、この土地で同じ作り方でそばを打ってくれた、祖母のそばのことになるが・・・

かつて、子供の頃に食べた一番おいしかったそば。そのそばを、今だにこうして食べることができるのは、とてつもなく幸せなことなのかもしれない。

水車が回る頃にまた来たい

店舗情報

  • 店名:手打ちそば 美郷
  • 住所:長野県大町市美麻新行14890
  • 電話番号:0261-23-1334
  • 営業時間:11:00〜17:00(冬季は16:00)
  • 定休日:火曜日(祝祭日は営業)
  • アクセス:長野自動車道 安曇野ICから約45分
    JR長野駅からJR信濃大町駅・大町温泉郷・扇沢行き特急バスで約50分。バス停「新行」で下車
    JR信濃大町駅からJR長野駅行き特急バスで約10分、バス停「新行」で下車
  • 最寄駅:JR大糸線 稲尾駅から徒歩で約50分(3.6km)
  • 駐車場:完備