「今日の昼はカツを食う!」
朝起きて、窓からうらうらと輝く朝の光を見たときに、そう心に決めた。
お昼にカツを食べる。そう決まってしまえば俄然前向きな気持ちになった。そう! 合理的にやるべきことをかたずけ、昼食時に空腹がピークに達するように計画しなければならない。
お店も決めてある。前から気になっていた千曲市・戸倉上山田温泉の「大黒食堂」だ。
このお店は、かねてより知人から教えてもらっていた。なんでも「ラーメンもカツ丼もうまいんだけど“変わったタレ”で食べるカツライスもオススメ」とのこと。うむ。望むところだ。
午前中・・・「“変わったタレ”ってどんなん?」と時々夢想しつつも、黙々とやるべきことをかたずけていく。「これって一種の“ルーティン”だな」とも思うが・・・いつでもこれくらいの集中力が欲しいものだ。
大黒食堂に向かう
そして昼食時。お店が混み合うことも考慮しピークを外して、13:30過ぎに到着するように現地へ向かった。
大黒食堂がある戸倉上山田温泉は、明治時代より栄えた温泉地で、善光寺詣りの精進落としの湯として親しまれてきた。
千曲川を挟さみ、下流(長野市方面)に向かって左岸に上山田温泉と戸倉温泉が、右岸に新戸倉温泉があり、それらを総称して戸倉上山田温泉と呼ぶそうだ。
大黒食堂の最寄駅は、しなの鉄道・戸倉駅。徒歩で向かう場合は約30分(駅から車で約10分)ほど。また、車での来客のために駐車場(6台)も用意されている。
街中はいかにも温泉街といった風情で、お昼を食べに来ただけなのだが、ちょっとした旅行気分も味わえる。少し街中を眺めながら行こうかな?
さて、お腹もペコペコだ。道草はこれくらいにしてお店に行こう!
そして、駐車場の前まで来てみると・・・
朝から今この時のための準備が水泡と帰した・・・
「嗚呼!!・・・でも!?・・・ふっ、こんなこともあるさ・・・全然大丈夫だ!・・・問題はまったく何も無い・・・」と、狼狽しつつも自分をなんとか立て直す言葉を探し、リフレインした。そして、ふと井伏鱒二の詩を思い出す。
『花に嵐の例えもあるさ さよならだけが人生だ』
しょんぼり。・・・帰ろっと。