・・・疲れた時には巨大なものが見たくなる。そう思わないだろうか?
特にダムがいい。
川や谷を跨ぎ、悠然とした姿で己の役割を淡々と果たすダム。せき止められた水は湖となって広がり、巨大で人工的な構造物であるにもかかわらず、周囲の環境とも不思議と調和しているように見える。
ただしそれは一側面に過ぎない。
ひとたび、たたえた水の放流がはじまると様相は一変。流れ出す水流は猛々しく、見ているもののアドレナリンを沸騰させつつも、いたってクールに電力を作り出していく・・・なんと美しく偉大な存在なのだろう!
・・・つまり今の筆者にはダムが必要なのだ。
大町ダムへ向かう
今回訪れたのは、長野県大町市にある「大町ダム」。北アルプスの槍ヶ岳を源流とする高瀬川にあり、おもに洪水を防ぐことを目的としたダムだ。
高瀬川にはダムが3ヶ所あり、上流より高瀬ダム、七倉ダム、そして大町ダムと続く。川は下流約25kmで犀川に合流し、長野市で千曲川、新潟県に入って信濃川となり日本海へと注ぐ。大町ダムから日本海までの距離は約300kmだ。
さて、大町ダムへ向かう。
大町市の市街地から、県道326号線・槍ヶ岳線を行く。登山者たちが憧れる山、槍ヶ岳の登山ルートのひとつ“ 裏銀座ルート” その起点への道としても有名だ。
大町ダムの主目的は前述した通り洪水を防ぐことだが、農業用水の安定供給や、水道水の確保、発電用途としても利用されている。
もともと高瀬川流域では、昔から幾度となく洪水が発生しており、特に1969(昭和44)年の、高瀬川大洪水では、付近の葛温泉も巻き込み甚大な被害をもたらしたそうだ。この災害をきっかけにダムの建設計画が本格的に始まったとのこと。
ダムの上を行く
ここでかんたんに、大町ダムのスペックを紹介しておく。
大町ダムは重力式コンクリートダムで、これは自重により水圧等の外力に抵抗する形式のダムのこと。高さは107mで30階建てのビルと同等の高さ。幅は338mで観光バスが32台並ぶ長さということだ・・・ちょっといろいろと想像を絶する。
しかし、息を呑む絶景だ。
大町ダムの管理事務所が発行する広報誌『ダム風だより』によれば、冬は、冠雪した北アルプスの山々や、結氷したダム湖など見どころも多く、また、管理用道路の除雪もしっかりと行っている。とのことだ・・・知らなかった。
また、平日限定だが事前に連絡することで、ダム内部の見学も可能とのこと(記事末に詳細を記載)・・・知らなかった!(この日は土曜日)
でも、「人っ子一人いないダム〜♪」と、知らず知らずに鼻歌が出るくらいにテンションは上昇する。やはりダムは効く・・・のかもしれない。