移転リニューアルした新京亭
お店の方にお聞きしてみると、その理由がわかった。
新京亭は1967(昭和42)年に開店したラーメン店だ。開店より49年間の長きにわたって飯田駅前にて営業を続けてきたそうだが、2016(平成28)年に、新しい店舗を構えて移転したそうだ。
新京亭の営業時間は10:30〜20:00。定休日は水曜日。
訪問したのは平日の13:00過ぎだったが、ほぼすべての席が埋まっていた。しかし、ちょうどお客さんが入れ替わるタイミングで、待つことなく入店することができた。やはり、かなりの人気店のようだ。
席に着くと、すぐにお店の方がお冷やを出してくれた。人気のメニューを聞いてみると、やはり看板メニューである中華そばとのことだ。あと、餃子も人気とのこと。
なるほど。そしてメニューをしばし熟読する。
麺類は、「中華そば(650円)」を筆頭に、ワンタンメン、チャーシューメン、五目そば、焼きそばなどがラインアップ。
ご飯類は、チャーハン、カツ丼、親子丼、玉子丼、中華丼がありバリエーションも豊富。また単品の「ヤサイ炒め(650円)」と「肉炒め(800円)」、「トン汁(400円)」も気になる存在だ。
お店の方が言っていた餃子はなんと「揚げ餃子(450円)」だった。しかも、他に焼き餃子などが存在しないことからも、お店の毅然とした態度を感じる。
うーん。たくさん気になるメニューはあるが・・・やはりここは頂上作戦! ということで中華そばをお願いした。
注文を済ませてから店内を観察する。客層はかなり広い。制服を着た公務員らしき男性のグループや、カップル、子連れのお母さん、年配のご夫婦、男性の一人客などなど、どのお客さんも、「このお店が好きだ!」というオーラを発しているようにも見える。そういうのってよく見るとわかるのだ。
老舗がリニューアルするのは、なかなか大変なことだと思う。やはり、長らく通い詰めている常連さんにとっては、なじみ深い店舗の雰囲気は忘れられないものだと思うからだ。
約50年間続いているということなので、小学生の頃から通っているお客さんなら、今は60歳近いはずだ・・・今ではもう亡くなってしまった両親と一緒に、この店に来たという思い出があるかもしれない・・・
お腹を空かせた中高生達が、中華そばとカツ丼を同時に注文して、ガッツリと食べた思い出もあるかもしれない。そんな、彼らだってもう70歳近いはずだ・・・諸行無常の響きあり・・・
などと、妄想に耽っていると・・・「お待ちどうさま!」と元気よく注文の品を運んできてくれた。
新京亭の中華そばは、とてもやさしげで少々ノスタルジックな装いだ。
では。いただきます!
まずはスープを一口。かなりあっさりした味に感じるが、すぐに猛烈なうまみが追いかけてくる。おー!うまい! 味は甘めで醤油の辛さを感じない。少ない語彙で表現すると「あま〜い醤油味」。透き通ったスープは見た目通りに洗練されており、あとを引くやさしいうまさに満ちている。
麺は平打ちのストレート麺でかなり柔らかい。表面がとてもツルツルとしており透き通っている。稲庭うどんにも見える出で立ちだ。なめらかな口当たりで、素早くスープをまとって、瞬時に喉を通り過ぎていく。そして、噛みしめるとモチモチとしており小麦の香りもほのかに感じる。これは新食感!
メンマは細めでコリコリとした歯ごたえで、味付けは上品。脂身のない小ぶりのチャーシューは噛みしめるほどに肉のうまみを口の中に広げるが、あくまでも麺とスープが主役であり、一杯の中華そばをより魅力的にするための脇役に徹している。
筆者は基本的には固めの麺を好む。しかし、この特徴的な柔らかい麺はやさしいスープとも相まって、独自のバランスを構築しているのだ。「こんな中華そばはじめてだぞ!」と驚き、これまで知らなかった新しい価値観に浸る幸せな時間が過ぎていく。
というわけで、うまいうまいと夢中で食べ進め完食した。ごちそうさま!
終わりに
「ありがとうございました!」の声を聞きながらお店を出て思う。
50年の伝統はリニューアルごときでは変わらない。愛してくれるお客さんがいる限り。
店舗情報
- 新京亭
住所:長野県飯田市中央通り4-14
電話番号:0265-22-1756
営業時間:10:30〜20:00
定休日:水曜日
駐車場:なし(近くに有料駐車場あり)
アクセス:中央自動車道 飯田ICから車で約15分
最寄駅:JR飯田線 飯田駅から徒歩約1分