カツ丼の概念を超えた!?「お得ソースカツ丼」を喰らう!
注文してから、ゆっくりとお店の中を観察する。厨房のようすを見ていると、その立ち居振る舞いから肉に対する思い入れがビシバシと伝わってくる。やはり、精肉店の直営だけあって素材への思い入れが半端ではないように感じる。
しばらくすると新しいお客さんが来店して、焼肉をオーダーしていたが「ご予約を入れて頂かないとご提供できないんです」と断られていた。焼肉の場合、3日前から準備して提供しているとのことだ・・・いったい、どんな焼肉なんだろう!? きっとすごくおいしいに違いない。
・・・などと考えていると、「お待ちどおさま!」とお店の方が注文の品を運んできてくれた。
では。いただきます! まずはカツを一切れパクリ。
!?(※心の声:なんじゃこりゃー!?)
この肉・・・マジか!? 豚肉は、“かみ切る”という動作が必要ないと思えるほどに柔らかく、口の中でほどける。そして同時に肉自身の油とその脂身が一瞬にして融合。油の甘さが味覚全体を支配していく。
こ、これは・・・豚肉がすごすぎる。うますぎる。これが信州SPF豚か!?
正直なところ、自分にはブランド肉の善し悪しなんてわからないし・・・脂っこいだけなのでは? などと、ちょっと疑っているところがあった(完全なる偏見だ)。でも、これはそんな自分にすらハッキリとわかるうまさだ・・・というか、これまでにこんな肉を喰ったことがない。たぶん素材を活かす素晴らしい調理があっての味なのだろう。
かなり厚みのある豚肉にもかかわらず、実にちょうどよく加熱されている。また、肉を食べてこれほど脂身がうまいと感じたのもはじめての経験かもしれない。
豚肉から剥が落ちることのない、きめ細かく美しいきつね色のコロモはカツにクリスピーな食感を加え、これまた絶妙にフルーティーな甘さをまとったタレがしっかりと染みこんでいる。これはもう・・・うますぎ注意報発令だ!
・・・はっ!? ご飯・・・ご飯も食べなきゃ!
追っかけで、千切りキャベツとあったかいご飯をかきこむ。うーむ。これですよ! これこれこれ! ご飯とキャベツ、そしてカツを一緒に食べる醍醐味とその絶対的な幸福感。そして、これらの食材を一つにまとめるタレの威力も本当にヤバい。
なんというか、ちょっと想像を超えたソースカツ丼だ。
全国各地、そして信州で、これまでにもさまざまなカツ丼を食べてきたが、このカツ丼は自分が考えていた“カツ丼の概念”を完全に覆した気がする。というのも、とてつもなく洗練された味なのだ。
カツ丼という食べ物は、庶民的であることがまずは根底にあり、そのお店独自の味を磨き上げつつも、どことなく“駄の味わい”があること。そんな特徴を持つ、さまざまなタイプのおいしいカツ丼が全国津々浦々には数多く存在する・・・というのが、これまで自分が考えていたカツ丼の概念なのだが・・・もしかして、それは思い込みに過ぎないのか!?
などと、頭の中ではいろいろな思いがぐるぐるとまわっているのだが、箸はその間もまったく止まることなく動き続ける! 誰だよ? 食べきれないかもしれない・・・とか思ってた奴は!?
落ち着け! そう。今はカツ丼に必要不可欠な存在である味噌汁と漬物の出番だ。クールダウンせよ。いわゆる箸休めであるが、その存在は主人公たるカツ丼の存在感をさらに高めてくれるから不思議だ。
ソースカツ、タレの染みた千切りキャベツとご飯のマリアージュ。その組み合わせを極限まで高め洗練させたソースカツ丼との衝撃的な出会いだった。
ごちそうさまでした!
終わりに
お店を出てから山奥にある目的地へと再び向かった。そして、車を運転しながらソースカツ丼の味をひたすら反すうした。目的地に到着するまでには数時間かかったが、味覚が研ぎ澄まされていたせいか、疲れることも眠くなることもなかった。
ハードな1日が終わり丸太ん棒みたいに横になるまで・・・眠りに就くまでカツ丼のことをずっと考えていた。・・・絶対にまた喰いたい!
店舗情報
- たけだ
住所:長野県伊那市山寺234-3
電話番号:0265-72-0100
営業時間:11:30〜14:00、17:00〜21:00(ラストオーダー21:00)
定休日:水曜日
駐車場:あり
アクセス:中央自動車道 伊那ICから車で約5分
最寄駅:JR飯田線 伊那北駅から徒歩で約10分