“日本のほぼ真ん中あたり”に位置する長野県には、さまざまな理由(こじつけ)から数多くの“日本の中心”が存在する。それらの謎を解明し、「日本の中心に立つかっこいいオレ」を実現するための企画『日本の中心に立つ!』。第4弾は長野県南牧村にロックオン!
南牧村の“日本の中心”の根拠は難解!?
長野県にはいったいどれだけの“日本の中心”があるのだろう?
ちなみに、これまで以下の場所を記事として取り上げてきた。ここでちょっと振り返っておこう。
長野県佐久市にある「日本で海岸線から一番遠い地点」が日本の中心って本当なの? 長野県小川村にある「本州のHESO(へそ)」が日本の中心って本当なの? 長野県辰野町にある「日本中心のゼロポイント」が日本の中心って本当なの?詳細についてはそれぞれの記事をご覧頂くとして、調べてみると“日本の中心”を名乗る根拠がそれぞれにあることがわかる。そう! その根拠を理解することこそが日本の中心に立つ醍醐味なのだ。
しかし、今回訪れた場所は名称を見る限り・・・その根拠はかなり難解に思える。
そこは、長野県南佐久郡南牧村にある「平面直角座標系第VIII系原点(日本おへそ)」だ。読み方は「へいめんちょっかくざひょうけいだいはちけいげんてん」となる。
国道141号線は、山梨県韮崎市と長野県上田市を結び、そのルートの多くでJR小海線と平行する。南牧村の南部に位置する野辺山高原には、JRの鉄道最高地点と標高がもっとも高い位置に所在する駅である野辺山駅がある。
JR埼京線が“最強”ならば小海線は“最高”!?長野県南牧村の鉄道最高地点と野辺山駅標識には「平面直角座標系第VIII系原点(日本のおへそ)」と記され、羽がある謎のキャラクターが描かれていた・・・なんだこれ?
しかし「日本のおへそ」と書かれていることから、きっと“日本の中心”的なスポットであることを推察した。それで、立ち寄ってみることにしたわけだ。
ははーん。これが“市場交差点”の名前の由来だな。しかし馬市場とはなんだろう?
石碑の説明はかなり長いので以下に要約した。
佐久は古くから馬の産地だったが、明治以降には洋種の馬が盛んに生産されるようになった。やがてこの地で馬市が開かれるようになり、長野県内でも木曽に次ぐ大規模な馬市として有名になった。そのようすは、文豪の島崎藤村(しまざき・とうそん)が『千曲川スケッチ』に詳しく記している。
なるほど。そういえば南牧村には“牧”という文字が入っているよなぁ。
さて、問題の平面直角座標系第VIII系原点(日本のおへそ)へと向かう。
心の中で鳴らす?(・・・嫌な予感がする)
そこには、かなり怪しげな解説あった。
鐘の位置からVIII系原点の延長線上にある桜の木の上空を見ると、そこには常に北斗七星が輝いています。実は北斗七星は8個の星からできていて、その8個の星が重なって幸せをもたらすとされています。8個目の星はひしゃくの柄の外側から二番目の星がミザールとアルゴルという2つの星からできており、8回目の鐘を鳴らすと見えるといわれています。
「古老の口伝」より(※引用中の文字の強調と着色は筆者。以下同)
・・・(突っ込みどころがありすぎるけど、まずは)えーと、古老ってだれ!?
どうやら、北斗七星(おうし座)の星「ミザール」の近くにある「アルコル」について(※解説中にはアルゴルと記載されているが明らかな誤り。アルゴルはペルセウス座の星だ)の説明らしいのだが・・・
アルコルは暗い星(4等星)だが、視力がいい人なら肉眼でも見える星だ。かつてのアラビアで、視力検査に使われていた星とも伝えられている。
なので「鐘を鳴らすと見える」ことはないのだが・・・うーん。この場所の“日本の中心”の論拠もこんな感じなのかな?(「古老の口伝」でないことを祈る)。