山岳との人との関わり合い
1Fの展示では、「人々がどのように“山岳”と関わってきたのか?」というテーマにスポットを当て、その歴史や、登山で利用した道具の変遷などを展示している。
展示を見ていると、かつて山とは身近な存在でありつつも、その最深部は人知が及ばない聖域であったことがよくわかる。しかし、それゆえに近代になってからは、人々の冒険心や知的好奇心を強くかきたてたわけだ。
長野県と富山県は、県境を接しているものの、現在でもロープウェイやケーブルカーなどさまざまな乗り物を乗り継いで両地を結ぶ「立山黒部アルペンルート」を除くと、自動車などで両地を行き来できる道路は存在しない。
にもかかわらず、いにしえの頃から両地を結ぶルートは存在した。その要衝が針ノ木峠だ。
そこは、かつて山岳信仰や交易の道であり、江戸時代には加賀藩と松本藩の境界にもなった。明治時代に入ると近代登山のルートとして発展。現在では多くの人々が訪れる登山道として利用されている。
そして展示では、そんな近代登山の発展を舞台裏で支えた、地元の人々の暮らしについてもスポットを当てている。
かつて、このはんてんを着た人たちが、この地を訪れる登山客たちをガイドする光景を想像しながら、大町山岳博物館をあとにした。
終わりに
とても充実した内容だった。特にリアルな生き物の剥製は素晴らしいものだった。
記事では筆者が興味をもった展示を中心に取り上げたが、紹介したのはそのほんの一部であることをご理解頂きたい。
個人的には「針ノ木峠」についての展示がたいへん興味深く、さらに詳しく知りたくなった。
施設情報
- 市立大町山岳博物館
区分:総合博物館
住所:長野県大町市大町8056-1
電話番号:0261-22-0211
営業時間:9:00〜17:00(※入館は16:30まで)
定休日:毎週月曜日、祝日の翌日、年末年始
(※月曜が祝日の場合は開館、翌日休館。7〜8月は無休)
観覧料:大人400円、高校生300円、小・中学生200円(※団体割引あり)
アクセス:長野自動車道 安曇野ICから車で約40分、上信越自動車道 長野ICから車で約80分
最寄駅:JR大糸線 信濃大町駅から徒歩約25分