長野県の博物館の数が半端ないらしい。
根拠となるのは、文部科学省が発表している「種類別博物館類似施設数」という統計で、2017(平成29)年度のデータを都道府県別に集計すると、長野県は計277で全国1位となる。
2位 北海道 272
3位 東京都 205
4位 新潟県 178
5位 岐阜県 172
長野県における内訳を見てみると、総合博物館19、科学博物館21、歴史博物館155、美術博物館72、野外博物館1、動物園6、植物園3、動植物園0、水族館0ということだ。
特に目を引くのが歴史博物館と美術博物館の数で、こちらもそれぞれのカテゴリーで全国2位、1位という順位だ。ふーん。そうなんだ・・・でも確かに長野県内をまわっていると、やたらと博物館に遭遇するような気もする。
ちなみに3位までの自治体の人口はそれぞれ、長野県214万人、東京都927万人、北海道547万人なので、人口比で考えてみても・・・うーん。半端ないっす。
この事実を、ネガティブに捉えるならば“ハコ物好きの県民”と一刀両断することもできるが、とりあえずここはポジティブに“多様な学問や芸術を愛好する、勉強熱心で感性豊かな県民”としておこう。
というわけで、“日本一たくさんある長野県の博物館たち”とはいったいどんなものなのか? 気になった施設を訪問し『どんな展示か見てみよう!』と題して記録していくことにした。
日本ではじめて“山岳”をテーマにした博物館
今回訪れたのは、長野県大町市にある「大町山岳博物館」だ。
大町市は、長野県の北西部に位置する自治体で、富山県との県境には3,000m級の山々が連なる北アルプスが鎮座する。
もしかしたら、雪山の遭難事故のニュースなどで「大町警察署山岳救助隊」という、フレーズを耳にしたことがあるかもしれない。
この地は、古くから北アルプスへの玄関口のひとつで、“山”の存在が極めて身近だったこともあり、1951(昭和26)年に、日本で初めて“山岳”をテーマとする博物館「大町山岳博物館」が開館した。
大町山岳博物館の常設展の展示内容は以下の通りだ。
2F 水の惑星 地球46億年の生い立ち、日本列島の生い立ち、今を生きる生き物
1F 北アルプスと人とのかかわり、年代記、山岳人列伝〜山岳文化を育んだ大町周辺の人々〜
この博物館では、3Fから1Fに向かって展示を観覧することになる。では参りましょう!
3Fの展示室でまず目に飛び込んでくるのは、北アルプスの美しい姿だ。
窓から見える景色を、“博物館で見るべき展示のひとつ”として取り入れたのは、とてもいいアイデアではないだろうか? 冠雪した北アルプスは、例年10月下旬〜5月下旬頃まで見ることができる。
日本海側の新潟県糸魚川市から、大町市や諏訪湖を通り静岡県静岡市に至る、糸魚川ー静岡構造線と柏崎ー千葉構造線に挟まれた、独特な構造を持つ地帯“フォッサマグナ”について解説していた。
つまり、長野県は大陸プレートや断層が複雑に入り組んだ地形を持つがゆえに、激しい地殻変動を繰り返しながら、北アルプスなどの険しい山々が生まれたというわけだ。なので・・・
このように、現在の大町市周辺や長野県、そして日本列島がどのように形作られたのかという説明があった上で、次の展示へと進むことになる。
そして、次の展示が何といってもすごい! それは・・・
それは、リアル過ぎる剥製たちだ!