廃線跡めぐりとは“想いを馳せる”こと!?
特に長野県内に限ったことではないが、多くの鉄道路線はかつての“街道”沿いに敷設されていることが多い。長野県内の路線で見てみると以下の通りとなる。
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- 北陸新幹線・信越本線(しなの鉄道)
街道:中山道、北国街道 現在の道:国道18号線、上信越自動車道 - 中央本線(中央東線)
街道:甲州街道 現在の道:国道20号線、中央自動車道 - 中央本線(中央西線)
街道:中山道 現在の道:国道19号線 - 篠ノ井線
街道:善光寺街道(北国西街道) 現在の道:国道403号線、長野自動車道 - 飯田線
街道:三州街道 現在の道:国道153号線、中央自動車道 - 大糸線
街道:千国街道 現在の道:国道147、148号線 - 小海線
街道:佐久甲州街道 現在の道:国道141号線、中部横断自動車道 - 飯山線
街道:谷街道 現在の道:国道117号線
- 北陸新幹線・信越本線(しなの鉄道)
つまり、いにしえから存在した街道に沿って、近代になると鉄道や国道が敷かれ、現代では高速道路網が整備されているというわけだ。
そう考えると、篠ノ井線の誕生以前から善光寺街道が松本平と善光寺平を結び、人々が往来していたことがわかる。
こんなことに想いを馳せながら歩くのも、廃線跡めぐりの醍醐味だと思う(「リニアはやはり甲州街道+中山道ということになるのかなぁ?」・・・とか)
・・・そういえば、子供の頃に「しなの」に乗って長野から大阪へ行ったなぁ・・・などと想いを馳せる。考えてみれば、長野駅や松本駅から京都駅や大阪駅まで乗り換えなしで行けるってすごい!(※現在では、大阪行きは廃止された)
漆久保トンネルは総レンガ造りのトンネルで、その造形は、明治時代に造られたトンネルの典型であり、開通当時から補修工事が施されていないことから文化的価値も高いという。
潮沢信号場は、単線で駅間の長い西条駅〜明科駅間の列車の本数を増やすために設置された、スイッチバック式の信号場だ。
潮沢信号場には、面白いエピソードがある。
1972(昭和47)年に、近くに住むお年寄りたちが、長野の善光寺と戸隠神社への参拝旅行を計画したそうで、「年配者が多いためこの信号場から乗車できないか?」と当時の国鉄と交渉したところ、「今回限り」という条件で許可が出たそうだ。
“1日限りの駅”となった潮沢信号場からは、30数名の乗客が乗り込み、念願だった参拝旅行が実現したということだ。
いい話だなぁ・・・さて、先へと進もう。
「旧国鉄篠ノ井線・廃線敷遊歩道」はここで終わりだが、廃線跡はこの先の西条駅近くまで続いているそうだ。
終わりに
廃線跡でいつも感じるのは「昔の人のパワー」だ。
人海戦術、手作業、手作り・・・今回めぐった旧篠ノ井線にあるレンガ造りのトンネルも、麓の町で焼いたレンガをトロッコ線を設けて運び上げ、造り出したものだという。
なんだか・・・現代を生きる自分にも発揮できるかもしれない“潜在能力”を感じさせてくれるのもまた、“廃線跡めぐり”の醍醐味なのだ。
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