前編からの続き。
公衆トイレが気になる・・・こう書くちょっとアレだが、筆者が注目したのは“公衆トイレの名前”についてだ。例えばコレ↓「カチューシャのふる里」
“名前を持つ公衆トイレ”が気になる!?長野県長野市でトイレの名前について考察する【前編】長野県長野市には“名前をもつ公衆トイレ”が、各所に存在している。しかし、すべてのトイレに名前が付けられているわけでもないらしい。いったいどういうこと!?
これまでに筆者は、名前を持つトイレを発見する度に写真撮影=コレクションしてきた。撮りためた写真を整理しつつその名前について考察してみるのが、この記事の趣旨だ。
また、いったいなぜトイレに名前が与えられることになったのか? その理由をトイレを管理する長野市衛生センターにお伺いしたので、記事の最後に掲載する。
市場のまちかど(長野市七二会)
長野市七二会・・・もしかしたら難読地名かもしれない。ちなみに七二会(なにあい)読む。江戸時代この地域は松代藩領でいくつもの村が存在していたが、明治時代となり周辺の7つの村と2つの村が合併し「七+二+会(合併)=七二会」という地名が付けられたそうだ。
七二会は長野市西部に位置し、長野市と松本・名古屋方面を結ぶ国道19号線や大町・白馬方面を結ぶ長野県道31号線(オリンピック道路)が通る交通の要衝でもある。
市場のまちかどという名前は、七二会の“市場”地区の「交差点=まちかど」にトイレが立地することから名付けられたと推測した。
- 市場のまちかど
住所:長野県長野市七二会丁 160-1
さくら(長野市芋井)
長野市芋井は、長野県庁のすぐ側を流れる・裾花川と長野市のシンボル・飯綱山を擁する、市の西北部に位置する中山間地だ。
さくらは、長野市芋井支所からすぐ近くの県道沿いにある。名前の由来はトイレが芋井の“桜”地区に立地することにあると推測した。
また、隣接する芋井泉平地区に推定樹齢約1,200年の「素桜神社の神代ザクラ(国指定天然記念物)」が存在することも、ネーミングの一因となっているのかもしれない。
- さくら
住所:長野県長野市桜854-1
杏の泉(長野市安茂里)
杏の泉があるのは、JR信越本線の安茂里(あもり)駅だ。長野市安茂里は江戸時代から杏の栽培が盛んで、花見の名所としても知られており善光寺への参拝客の多くが立ち寄ったという。
しかし、戦後の高度成長期にベッドタウンとして急速に宅地化。杏の木は大幅に減ってしまったとのこと。現在では、かつて杏が栽培されていた場所に造成された住宅地「杏花台団地」にその名を留めている。
というわけで、かつてのこの地の名物「杏」が、トイレの名前に付けられたと推測。
- 杏の泉
住所:長野県長野市宮沖3579-4
南部のせせらぎ(長野市栗田)
南部のせせらぎは、長野駅の東口方面・長野市栗田に立地する。その名前の由来は、隣接する長野市立南部小学校に由来すると思われる。
しかし、残る語句である“せせらぎ”とはいったい何なのだろう? これまで考察してきたトイレの名前にも“泉”や“園”、“庵”といった、いかにも“トイレっぽい語句”が使われてはいたが、その一種なのだろうか?
実はこのトイレがあるのは、長野市七瀬に隣接した場所でもある。そして七瀬という地名を調べてみると興味深い事実が浮かび上がってくる。その地名の由来は、その昔この地で裾花川が分流していたことにあるといわれているのだ。
裾花川は、江戸時代に松代藩によって現在の川の流れに整備されたが、扇状に広がった川の一部は「善光寺用水」として転用されたそうだ。GoogleMapでも、その痕跡=水の流れを確認することができる。
「裾花川の七瀬=善光寺用水」に“せせらぎ”という言葉の由来があるのでは? と推測した。
- 南部のせせらぎ
住所:長野県長野市栗田811
八角処(長野市居町)
思わず「はっかくどころ」と読みたくなるが、「やすみどころ」と読む。確かにトイレは一息入れる場所でもあるし、トイレが立地するのも「守田公園」の敷地内であり、公園もまた休憩できる場所ではあるが・・・それだけのことなの?
しかし、トイレの建物を見て納得した。
「休み(トイレ、公園)=八角(8角形の建物)=八角処」というのが、筆者の推測だ。ちょっとだじゃれっぽいネーミングがレアだ。
- 八角(やすみ)処
住所:長野県長野市居町64
[…] “名前を持つ公衆トイレ”が気になる!?長野県長野市でトイレの名前について考察する【後編】 | [Y]山側 2020年2月22日 […]