渋谷駅周辺の大規模開発と「春の小川」の水面
ここで、渋谷駅付近の渋谷川の位置を確認しておく。
実はかつて渋谷川は、東急百貨店の東横店・東館の地下1F部分を流れていたが、大規模開発にともない東口地下広場へと移設する工事が行われている。
東口地下広場には、ゲリラ豪雨に対応する雨水貯留槽も建設され、1時間に50mm以上の雨が降った場合、最大で約4000トンの雨水を一時的に貯留することが可能になるとのこと。
時代と共に川の流れも変わっていくというわけか・・・
渋谷ストリームは、東急東横線の旧渋谷駅ホームや線路跡地などを活用した複合商業施設で、遊歩道を設置したり、川の壁面に水を流す設備を整備するなどして、渋谷川の景観を積極的に活用している。
記事の冒頭にも記載したが、渋谷川はこの先、港区の天現寺付近で古川とその名前を変え、首都高速道路2号目黒線、首都高速都心環状線の直下を流れ、浜松町駅付近より東京湾へと至る。
河骨川の水源から「春の小川」をたどってきたが、その水の流れを渋谷の中心で見ることができた。この場所にてその追跡を終わりとしたい。
終わりに
「春の小川」をたどったあと、渋谷区教育委員会に問い合わせてみた。
「渋谷区としては、『春の小川』は河骨川のことであると認識しており、高野辰之は娘と一緒に川のほとりをよく散策したとも聞いている」とのことだった。
1945(昭和20)年以降、河骨川、宇田川、渋谷川は、生活排水や工場排水によって汚れ続けたため、1970(昭和45)年までに暗渠化され、現在では下水道幹線となっているそうだ。
渋谷ストリームが、渋谷川に新たな価値を認めて活用しはじめたように、川もまた時代の流れとは無縁でいられないのかもしれない。