唱歌『春の小川』のモデルとなった川は東京都渋谷区の地下を流れている!?

渋谷駅周辺の大規模開発と「春の小川」の水面

渋谷駅方面に向かって道が続いていた

自転車置き場としても利用されている暗渠を進んでいくと・・・

渋谷駅の東口に出た。左の高層ビルが渋谷ヒカリエ。右が建設中の渋谷スクランブルスクエアだ

横断歩道を渡って駅へと進む

東急百貨店の東横店や東急東横線の渋谷駅があった東口は絶賛工事中!

ここで、渋谷駅付近の渋谷川の位置を確認しておく。

渋谷川の位置が移動する!(画像:渋谷駅街区土地区画整理事業共同施工者)

実はかつて渋谷川は、東急百貨店の東横店・東館の地下1F部分を流れていたが、大規模開発にともない東口地下広場へと移設する工事が行われている。

東口地下広場には、ゲリラ豪雨に対応する雨水貯留槽も建設され、1時間に50mm以上の雨が降った場合、最大で約4000トンの雨水を一時的に貯留することが可能になるとのこと。

時代と共に川の流れも変わっていくというわけか・・・

さらに、渋谷駅の東口を進み歩道橋を上る

青山通り(国道246号線)を越えると

渋谷ストリームに到着。そしてそこからは・・・

ここまで暗渠だった、渋谷川の川面をはじめて見ることができた!

渋谷ストリームは、東急東横線の旧渋谷駅ホームや線路跡地などを活用した複合商業施設で、遊歩道を設置したり、川の壁面に水を流す設備を整備するなどして、渋谷川の景観を積極的に活用している。

近代的な建築物と渋谷川。たしかに川の壁面には水が流れている

記事の冒頭にも記載したが、渋谷川はこの先、港区の天現寺付近で古川とその名前を変え、首都高速道路2号目黒線、首都高速都心環状線の直下を流れ、浜松町駅付近より東京湾へと至る。

河骨川の水源から「春の小川」をたどってきたが、その水の流れを渋谷の中心で見ることができた。この場所にてその追跡を終わりとしたい。

「春の小川」の下流、渋谷川の沿いの風景には近未来を感じた

終わりに

「春の小川」をたどったあと、渋谷区教育委員会に問い合わせてみた。

渋谷区としては、『春の小川』は河骨川のことであると認識しており、高野辰之は娘と一緒に川のほとりをよく散策したとも聞いている」とのことだった。

1945(昭和20)年以降、河骨川、宇田川、渋谷川は、生活排水や工場排水によって汚れ続けたため、1970(昭和45)年までに暗渠化され、現在では下水道幹線となっているそうだ。

渋谷ストリームが、渋谷川に新たな価値を認めて活用しはじめたように、川もまた時代の流れとは無縁でいられないのかもしれない。

中野市の高野辰之記念館にある銅像

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