犀川神社の杜煙火と太神楽
仕掛け花火に火が付くと、あたりは一気に明るさを増す。そして、境内の外から導火線を伝って炎が本殿・階段下の仕掛けに届き・・・
・・・しかし、とにかく見ている人と花火との距離が近い。
犀川神社の境内はすり鉢状で、それほど広くないスペースではあるが、周辺には木々が茂っており、そういった環境を最大限利用していたるところに花火が仕掛けられている。
見物客は、それぞれの仕掛が点火されるごとに、その方向を向いて花火を見ることになるが、その距離はとても近い。また、花火の炎が直接届いてしまうような場所にいる人は、安全確保のため、花火方や警備の人たちの指示によって、その場所を空けることになる。
太神楽が到着するその間にも、杜煙火は次々と続いていく。
そして、起点の日本橋がある東から西に向かって東海道五十三次の宿場名が書かれた提灯に、ひとつひとつ灯が入っていく。何しろ宿場は53もあるので見ごたえ抜群だ。
しかし、とにかく火が近い。でも、地元の人たちにとってはこれが当然のことなのだ。誰も彼もが火の粉が降りかかってきて大喜びしている光景は、はじめて訪れた方にとっては驚異に映るかもしれない。
後半はさらに大量の火の粉が舞う花火が続く。
お参りもしたし、お祓いもしてもらった。そして荘厳な神楽を見て、火の粉もたっぷり浴びた。とてもいいお祭りだった。
終わりに
個人的な感想だが「・・・そういえば。子供の頃に見た花火ってこういうものだったよな」と、ちょっと昔を思い出した。
今回、長い年月を経たのちに改めてこの花火を見ることになったのだが、確かに“すごい花火”だった。同時に、規制が増えた今の世の中にあってはもはや異端であるとも感じた。だからこそ、この歴史ある文化を守らなければいけないと思う。
ビニールシートを敷いて、のんびり座って見る花火大会もいいけど、火の粉を浴びて大喜びする地元の人たちが愛してやまない伝統的な花火。ずっと続いて欲しい。
※注意:お祭りに行ってみたいと思った方へ
「秋季例大祭宵宮祭り」では、境内のいたるところで仕掛け花火が行われる。安全確保のため移動を要請されることがあることを承知しておきたい。また、場所によっては火の粉が飛んでくるので、化繊の衣類の着用を避けるなどの配慮も必要だ。
杜花火を撮影したいと思う写真愛好家の方も多いと思うが、お祭りでは三脚の使用が禁止されている。また、神社の境内はそれほど広くない上、大変混雑する。スペースには余裕がないことをじゅうぶん承知しておこう(※ちなみに本稿に掲載した花火の写真は、すべて手持ち撮影した動画の切り出し画像だ)
そして、神社へのお参りを忘れずに(ここ重要!)。この素敵な文化が続いていくためにも・・・