駅そば店の壁に貼られた“2円切手”の意味とは?長野県中野市は“唱歌『故郷』の故郷”なの?

飯山線「替佐駅」に到着!

JR飯山線「替佐(かえさ)駅」に到着

「高野辰之記念館」の最寄り駅である、替佐駅の改札を出ると地域の案内図が設置されていた。

「初めて訪ねてきても懐かしき里 故郷とよた」とある

“とよた”とは、2005(平成17)年に、いわゆる“平成の大合併”により中野市に編入した長野県下水内郡の旧・豊田村のことだ。案内図は合併前の豊田村であったころに設置されたものなのだろう。

そして、案内図をよく見てみると・・・

高野辰之博士が!文部省唱歌『故郷』『紅葉』『春の小川』『おぼろ月夜』の作詞者。とある

ん? 『紅葉』もそうなのか・・・そういえば、以前「碓氷峠」の記事で・・・思い出した!

高野辰之博士! 筆者はあなたのことをかつて記事にしていました。

碓氷峠「アプトの道」を攻略!長野県歌『信濃の国』の歌詞に出てくる路線を歩く【前編】

碓氷湖の湖畔にあった『紅葉』歌碑。その歌詞の舞台は碓氷峠だと言われている

歌碑のそばにあった高野辰之の略歴

略歴を抜粋してみよう。

高野辰之(1876〜1947年)
長野県下水内郡永江村(現、中野市 ※筆者注:旧・豊田村)出身の国文学者。1910年東京音楽学校(現、東京芸術大学音楽部)教授となる。
(中略)

小学唱歌の作詞者として著名、代表曲として『紅葉』『故郷』『朧月夜』『春の小川』『春が来た』などがあり、今でも多くの人に親しまれている歌です。

『紅葉』の詞の舞台になったのは、碓氷峠の信越本線熊ノ平駅近辺と言われています。碓氷峠は群馬と長野の県境にあり、高野が東京と郷里の信州を往復していた頃は、信越本線にはアプト式軌道が引かれゆっくり走っていましたので、周囲の風景も堪能できたのではないでしょうか。
(以下省略 ※文字強調と着色は筆者)

替佐駅のホーム

なるほど。高野は彼の“故郷”であるこの駅から東京に向かい、そして汽車が碓氷峠を超える際の景色を唱歌『紅葉』の歌詞にしたということか!

ということは唱歌『故郷』のモチーフは、やはり“高野の故郷”である、この地にあるということなのだろうか?

まずは、高野辰之記念館に行ってみよう。

高野辰之記念館へ

高野辰之記念館へのアクセスは、替佐駅より「親川方面行き」の路線バスに約10分ほど乗り「永田」バス停にて下車する。

車で行く場合は、上信越自動車道「豊田飯山IC」から約5分だ。

駐車場も完備している

記念館の入り口には立派な門があった

右側の門柱には高野辰之記念館の表札(?)が

左側には旧永田小学校跡地と書かれていた

あとで記念館で頂いたパンフレットを確認すると、高野辰之記念館は、高野が学び、教鞭をとった永江学校・永田尋常小学校の後身である永田小学校の跡地にあると記載されていた。

つまり、高野はこの学校で子供のころ学び、大人になってからは先生としてこの学校に勤務したことがあるということだ。

高野辰之記念館の全景

記念館の前に立つ高野辰之の銅像

記念館の入り口は引き戸になっている

観覧料は大人が300円、高校生が150円、中学生以下は無料(※各種割引あり)

記念館内部のようす

展示物の撮影は禁止されていたので、かいつまんで説明すると、当時の書簡や、高野が編纂委員として関わった『尋常小学読本』や、国定音楽教科書の『尋常小学唱歌』などが展示されていた。

つまり高野は、当時「国語の教科書」と「音楽の教科書」を編纂する立場におり、以下の唱歌の作詞もしたということだ。

  • 『日の丸の旗』(第一学年用)
  • 『紅葉』(第二学年用)
  • 『春が来た』(第三学年用)
  • 『春の小川』(第四学年用)
  • 『朧月夜』(第六学年用)
  • 『故郷』(第六学年用)

また、全国100校あまりの小・中学校、高校、大学の校歌も作詞したとのこと。なるほど。

さて、この地を訪れた理由に戻ろう。唱歌『故郷』の歌詞の舞台は、やはり“高野の故郷”である、この地で間違いないのだろうか?

まずは、歌詞を振り返っておこう。

故郷

作詞 高野辰之 作曲 岡野貞一

一 兎(うさぎ)追いしかの山
  小鮒(こぶな)釣りしかの川
  夢は今もめぐりて
  忘れがたき故郷(ふるさと)

二 如何(いか)に在(い)ます父母
  恙(つつが)なしや友がき
  雨に風につけても
  思い出(い)ずる故郷

三 志(こころざし)をはたして
  いつの日にか帰らん
  山は青き故郷
  水は清き故郷

・・・というわけで記念館には、このような案内が貼られていた!

歌詞の1番に出てくる“かの山とかの川”が案内されている!

さらに記念館で頂いたガイドマップにも詳細が記載されていた!

どうやら唱歌『故郷』で歌われた歌詞のモチーフが、この地にあることは間違いないようだ。

というわけで、ここからはフィールドワーク。“かの山とかの川”を見に行こう!

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