駅そば店の壁に貼られた“2円切手”の意味とは?長野県中野市は“唱歌『故郷』の故郷”なの?

“うさぎの切手”がビッシリと!これはいかに!?

長野駅には、8店舗の“駅そば店”があるということは以前お伝えした通りだが、その日筆者は、在来線3・4・5番線ホームにある、「裾花(すそばな)郷」の暖簾をくぐることにした。

いったい何店あるの!?長野駅にある“駅そば”全店鋪を調査してみた

「裾花郷」の入り口

「裾花郷」は、そばを注文する場合“生麺”か“ゆで麺”を選択できるのが特徴だ。そして、生麺を使用した商品には“(特上)”という文字が付与される。例えば、ゆで麺の「かき揚げそば」は、生麺の場合だと「(特上)かき揚げそば」となるわけだ。

生麺とゆで麺を選択できる駅そば店は、長野県内でしばしば見かける

ちなみに「裾花郷」では40円増しで(特上)=生麺を選択できるが、ゆで時間はゆで麺が1分であるのに対し、生麺の場合は3分かかるとのこと。

なので、忙しい人=ゆで麺、暇な人=生麺と決めつけることで、“人間を分類する方法”としても機能するのではないかと妄想するが、生麺が好きなばっかりに“暇人”と認定されるのも切ない。

“生麺=信州特上生そば”について、その特徴が案内されていた

(重要な情報のような気もするので)念のために文字に起こしておこう。

信州特上生そばのご案内

信州の澄んだ空気と清らかな水で育んだ信州の風味をご賞味ください。

其の一 生冷凍なので、打ち立てそのまま
其の二 そば粉含有量は六割
其の三 製麺地は長野県

「六割そば」で“信州特上そば”を名乗っていいものなのか・・・議論の余地はあるかもしれない。しかし、“そば粉含有量”という語句に、「少しでも多くのそば粉を!」という信州人の欲望が集約されているような気もするし、また“製麺地は長野県”という言葉にも、ナショナリズムを感じる。

・・・そんなことを考えているうちに、筆者が注文した「野沢菜わさびそば(※ゆで麺タイプ・420円)」ができあがる。

ふふふ。ゆで麺だから早いのである(ちなみに、カミングアウトすると筆者はゆで麺のほうが・・・やめておこう)

いただきまーす!

“うさぎ”の切手の謎

そばをすすりながら、何気なく店内の壁を眺めていると「石臼挽き信州そば」なる張り紙が・・・

「石臼挽き信州そば」・・・?

「・・・これは“(特上)=生麺”と何か違うのだろうか・・・」と、少し混乱しつつも視線を丼に戻したが、何か重要なことを見落としているような感覚があったので、再び壁を見てみると・・・

壁一面に2円切手が張り巡らされていたのである。

大量の2円切手が・・・なんで!?

お店のおばちゃんに「この切手はなんですか?」と聞いてみると「さぁ? 私も詳しいことは知らないけど・・・昔の切手やはがきもどこかにあるはずだよ」とのこと。

探してみると・・・これか!

昭和26年のお年玉切手シートとスタンプが押されたはがきが!

さらに壁を探すと、疑問は氷解した。

張り紙の中に答えがあった

♪うさぎ追いしかの山・・・
の歌い出しであまりに有名な唱歌『故郷(ふるさと)』
作詞者の高野辰之氏は、飯山線沿線の長野県中野市出身です。
その飯山線ホームに建つ当店を、他にはない(?)うさぎグッズで飾りました。店内の壁と飾り窓をご覧ください。

1. 2円切手(うさぎ柄の普通切手)の壁紙
約2万2千枚あります。サル(5円切手)やシカ(20円切手)では実現不可能でした。

2. 元祖ウサギ柄の2円切手(昭和26年の年賀切手)
今は1枚2円では手に入りません。だから壁一面には貼れませんでした。

3. 鵜鷺(うさぎ)郵便局の「うさぎ風景印」入りハガキ
島根県出雲市に実在する郵便局です。ただし本物のうさぎはいません。
(以下省略 ※文字強調と着色は筆者)

なるほど。唱歌『故郷』の歌詞が「うさぎ追いしかの山」だから「うさぎでいっぱい」の店内にしたというわけだ。

2円切手でも2万2千枚ということは4万4千円。・・・たしかに5円切手のサルなら11万円、20円切手のシカなら44万円なので「山で追いかけた獲物がうさぎでよかったね!」と思うし、お店の言い分にも説得力がある。

しかし、唱歌『故郷』を作詞したという高野辰之(たかの・たつゆき)氏って長野県人だったんだ・・・

気になったので、そばをすすりながら「高野辰之 中野市」とスマホで検索してみると、「高野辰之記念館」なる施設があるらしい。そして、記念館の近くには生まれた家や、歌詞のモチーフになった風景もあるとのこと。

・・・・ということは、とてもややこしいが“唱歌『故郷』の故郷”は中野市ということなの?

俄然、興味がわいてきた。しかもお店を出れば、そこは飯山線のホームだ。

というわけで、「野沢菜わさびそば(※ゆで麺タイプ・420円)」を食べ終えた筆者は、そのまま“唱歌『故郷』の故郷”であるかもしれない、中野市に向かうために列車に乗った。

お店を出れば飯山線のホーム。いざ“故郷の故郷”かもしれない場所へ!

 

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