オープニングパーティーがはじまる
建物内部に「カーン! カーン!」という金属を打ち付ける音が響き渡る。
「中条アートロケーション《場》」の代表である、金属造形作家の角居康宏(すみい・やすひろ)さんが金槌を振るいはじめたのだ。
そして、その横で塗料の準備をするのは、画家・絵師であるOZ(本名:山口佳祐<やまぐち・けいすけ>)さんだ。
これが、ライブペインティング(※絵を描く過程を見せるパフォーマンスアート)か! はじめて見るぞ!
そして、会場にアンビエント(※環境音楽)な音色が響きはじめる。ギターとエフェクターでその音を作り出すのは、建築家の広瀬 毅(ひろせ・たけし)さん。
そしてパフォーマンスは佳境へと向かい・・・
見応えたっぷりのパフォーマンスだった。「中条アートロケーション《場》」では、前述したとおり作品の制作現場を見学することができ、ライブペインティングも定期的に開催するということなので、これからは、この場所でこうした作品制作の瞬間に、立ち会うことができるというわけだ。
「・・・いよいよこれからはじまるんだな」と思わせてくれる内容だった。
メンバー紹介とトークセッション
写真右から、角居さん、OZさん、旧中条村に工房を持つ木工作家のコバヤシユウジさん、長野市を拠点に活動中のグラフィックデザイナー廣田義人(ひろた・よしと)さん。
写真右から、長野市内に事務所を構えるフォトグラファーの金井真一(かない・しんいち)さん、写真だけでなく映像も手がけるカメラマンの北村晃一(きたむら・こういち)さん、SNSなどでイラストを公開しながら個人での展示もはじめた絵描きのzuki!さん、マネージャーの山口純子(やまぐち・じゅんこ)さん、マネージャーの石澤実菜美(いしざわ・みなみ)さん。
ここに、広瀬さんを加えた10名が「中条アートロケーション《場》」のメンバーだ。
メンバーの挨拶に続いて、ステージ上ではトークセッションがはじまる。
トークセッションは「美術・文化が今後社会に成し得ること」「中条のような中山間地で文化発信することのメリットとは」というテーマで話し合われた。その内容については、既出の記事と重複する部分も多かったので、ここでは詳細は割愛する。
印象的だったのは、OZさんが「複数のアーティストが同時にこの場所で制作することで、偶然のコラボレーションも生まれるかもしれない」と語ったことだ。
「中条アートロケーション《場》」では、1Fを立体作品、2Fを平面作品の工房にするということで、例えば1Fで角居さんが、2FでOZさんが制作している時に、OZさんが突如インスピレーションを得て、自分の描く作品に立体物を取り入れたくなり、1Fにいる角居さんに協力を仰ぐ。といったことも起こりうるのではないか? と、その可能性を語っていた。
これは、冒頭のパフォーマンスを見た者としては、説得力があったし期待も膨らむ。しかも、内外の多くのアーティストがこの場所で制作するということだけに、そうした、アーティスト同士の繋がりや広がりを考えると、わくわくする発言だった。