折り返し地点、旧熊ノ平駅へ
横川駅〜軽井沢駅間は、距離にして11.2kmだが、その標高差は553m。という解説が貼ってあった。実際に行き来したことがある方ならわかると思うが、峠といっても登り下りはない。横川からは一方的に登り、軽井沢からは一方的に下るのが碓氷峠だ。
季節の変わり目などに両地を移動すると、その標高差によって季節までもが変わったように感じることもある。
ちなみに筆者は、12月としてはとても暖かい日に横川方面からバイクで碓氷峠を登り、軽井沢で雪と氷に覆われ身動きが取れなくなった経験がある。
「穿つトンネル26、夢にも越ゆる汽車の道・・・」は長野県の県歌「信濃の国」の一節ですが、碓氷線には26のトンネルがありました。
最長は6号トンネル546m、26号トンネル432m、21号トンネル286m、16号トンネル265mと続きます。
(※一部省略)
昔は通過する際、“6”がつくトンネルは長いと、よく言われたものです。
碓氷新道(旧国道18号線)や、碓氷線(信越本線)は特に長野県の人には思い入れが強かったようです。(※適宜、句読点と括弧を筆者が追記)
思い入れは確かに強いかも・・・というか、通らないと長野県へ行けないので・・・
当初、信越本線が単線だった期間、横川駅〜軽井沢駅間で唯一の平坦地であった旧熊ノ平駅では、上下線の列車すれ違いや、蒸気機関車への給水・給炭が行われたそうだ。1905(明治38)年には駅として乗客も乗降するようになったとのこと。
しかし、1963(昭和38)年にはアプト線が廃止され、1966(昭和41)年の複線化により信号場へ降格する。そして、1997年(平成9)年の北陸新幹線開業に伴って、信越本線・横川駅〜軽井沢駅間が廃止されると、ともにその使命を終えた。
ちなみに、唱歌『紅葉(もみじ)』は、長野県中野市出身の高野辰之(たかの・たつゆき)が、旧熊野平駅周辺の秋の風景をモチーフとして作詞したといわれている。
秋の夕日に照る山もみじ
濃いも薄いも数ある中に
松をいろどる楓(かえで)や蔦(つた)は
山のふもとの裾模樣(すそもよう)
列車の中で思いついたのかなぁ?・・・紅葉の季節にも来て検証したいものだ。
終わりに
「碓氷峠鉄道文化むら」から「旧熊ノ平駅」まで、「アプトの道」を約6km歩いた。思っていた以上に遊歩道はきちんと整備され、多くの見所があったが、特に各所に掲示された解説がとても充実しており感激した。
アプトの道を歩き、解説を読むだけでこの地の歴史や特徴をほとんどを理解できることだろう。
地域の方に、とても愛されている場所であることがひしひしと伝わってきた。
長野県の県歌『信濃の国』の歌詞『穿つ隧道二十六 夢にもこゆる汽車の道』を、実際に旧熊ノ平駅まで10のトンネルを通り抜け歩いてみると、絶えず交通の要衝、難所であった碓氷峠と先人たちとの格闘と愛着の跡が見て取れた。
関連情報
- 問い合わせ:安中市産業政策部観光課
- TEL:027-382-1111
- 営業時間:9:00〜17:00(3月1日〜10月31日)9:00〜16:30(11月1日〜2月末日)
- 入園料:中学生以上500円、小学生300円、小学生未満(保護者同伴)無料
- 休園日:火曜日(8月を除く、火曜日が祝日の場合翌日休園)、12月29日〜1月4日
- 住所:群馬県安中市松井田町横川407-16
- TEL:027-380-4163
○トロッコ列車「シェルパくん」
- 運行期間:3月〜11月の土日祝日(8月は毎日運行)
※予告なく変更(増便・減便も含む)になる場合あり、要問い合わせ - 料金:碓氷峠鉄道文化むら入園料+トロッコ列車乗車券
- 往復:中学生以上1,300円、小学生700円、小学生未満大人1名に付き1名まで無料(※団体料金あり)
- 片道:中学生以上900円、小学生500円、小学生未満大人1名に付き1名まで無料(※団体料金あり)
- 営業時間:10:00〜21:00
- 休館日:毎月第2・第4火曜日
※第2・第4火曜日が祝祭日の場合、翌日が休館日 - 入館料(3時間利用の場合):中学生以上600円、4歳以上中学生未満400円、4歳未満無料
※各種割引あり - 住所:群馬県安中市松井田町坂本1222
- TEL:027-380-4000
- 運行区間:横川駅〜めがね橋〜軽井沢駅
※期間限定運行 - 問い合わせ:JRバス関東 小諸支店
- TEL:0267-22-0588