岩鼻ってどんなとこ?
調べてみると、岩鼻とは千曲川を挟んで立つ岸壁のことで、半過(はんが)岩鼻と塩尻(しおじり)岩鼻とがある。長野県の天然記念物にも指定されている名勝であることがわかった。
これから向かうのは「半過岩鼻」だ。
近くにある道の駅「上田道と川の駅」から歩いて行くことにする。
車を駐車場に停め、近くまで行ってみると・・・
「半過洞門」は近代になってから、作られたものだろうが、いにしえより交通の難所であったことは今この場所に立ってみても容易に想像できる。
鼠宿にあった看板には「加賀前田侯は参勤交代の際岩鼻を通過すると、飛脚をたてて無事を国許に伝えたという」とあったが、それもうなずけるような険しさだ(加賀の殿様が千曲川のどちら側を通ったかは定かではないが・・・)。
さて、半過岩鼻を登ってみよう。
半過岩鼻の直下には、千曲川が流れていることもあり頂上からの景色は際立っている。頂上は「千曲公園」として整備されており、桜の木がたくさん植えられていた。
そして・・・
看板の説明を要約すると
- この岸壁は半過岩鼻と呼ばれており、千曲川を挟んで対岸には塩尻岩鼻がある
- 遠い昔、2つの岩鼻は続いており、上田盆地は一面の湖だった
- 湖の西にねずみがはびこり田畑を荒らしたので、唐猫を集めて追わせた
- 逃げ場を失ったねずみは、岩山を食い破り湖の水は千曲川となり、一帯は陸地になった
・・・壮大な伝説だ。この地に伝わる古くからの言い伝えなのだろう。
看板の説明にある「湖の西」を塩尻岩鼻の西あたりだと仮定すると、ねずみがはびこった場所は鼠宿がある場所とほぼ一致する。
「ねずみ」もう一つのいわれ
「岩山を食い破った」というねずみに思いを馳せつつ、道の駅に戻ってきた。
さらに道の駅にも何かないかと探していたところ・・・
半過自治会、上田市、国土交通省千曲川河川事務所によって作られたもので、付近のさまざまな情報が記載されている。
クローズアップしてみると・・・
昔ここは山と山に挟まれた川の地せき(※)のため、旅の難所でした。
そして、古くからの宿場として栄えたこの場所で旅人の安全を願い、川のはんらんをねずに見ていたことから「ねずみ」となったといわれています。
唐ねこ伝説に登場するねずみからとったともされている。
(看板「おとぎの里岩鼻 」より引用)※地籍=土地の位置や形状の意
なるほど。そのような言い伝えもあるのか。
まとめ
調べたことをまとめてみると、
- 長野県坂城町にある国道18号線「ねずみ」交差点は、旧北国街道の鼠宿にある。
- 「ねずみ」という名がついたのは「唐ねこの伝説」に由来するという説と、「千曲川の氾濫を寝ずに見た(寝ず見=ねずみ)」に由来するという説がある。
ということになる。
「ねずみ」交差点の名前を巡って、この地のさまざまな歴史や伝説を知ることができた。
終わりに
取材を終え、道の駅「上田道と川の駅」の売店に行ってみると面白い野菜を見つけた。
お店の方に伺ってみると、ねずみ大根はこの辺りの名産品で「おしぼりうどん」にして食べるのが一般的とのこと。「おしぼりうどん」って何だろ? と考えていると、この道の駅で食べることができると教えてくれた。
「おしぼりうどん」は、ねずみ大根のしぼり汁に、味噌、ネギ、かつお節などを薬味として加え、あったかい釜揚げうどんを汁につけて食べるそうで、味は「辛くて、あったかくて、ちょっと甘い」という感じ。体がポカポカしてくるやさしい味だった。