「日本の中心」であるという根拠
「日本で海岸線から一番遠い地点」は、山林の中の傾斜地にあった。
「日本で海岸線から一番遠い地点」の標柱などは佐久市によって設置されたものだ。
ここで、豆知識を。陸上で海からもっとも遠い地点や、海上でもっとも陸から遠い地点のことを「到達不能極(とうたつふのうきょく)」と呼ぶ。
地球規模で見てみると、以下の場所などが該当する。
- ユーラシア大陸:中国・新疆ウイグル自治区
- 北アメリカ大陸:アメリカ・サウスダコタ州
- 南アメリカ大陸:ブラジル・アレナポリス
- アフリカ大陸:中央アフリカ・南スーダン・コンゴの国境付近
- オーストラリア大陸:オーストラリア・アリススプリングス
日本列島においては、1996(平成8)年に行われた国土地理院の調査により、長野県佐久市田口字榊山209-1が「日本で海岸線から一番遠い地点」として特定された。
この場所から海岸線までの距離は、
- 静岡県富士市田子の浦港まで 114.853 km(太平洋側)
- 新潟県上越市直江津まで 114.854 km(日本海側)
- 神奈川県小田原市国府津まで 114.862 km(太平洋側)
- 新潟県糸魚川市梶屋敷まで 114.866 km(日本海側)
とのことで、それぞれの場所から概ね114km離れた地点であるということだ。
この案内板には、この地点に対する佐久市の見解とも思える解説が記されていた。興味深いので書き出してみよう。
日本で海岸線から一番遠い地点
1996年9月国土地理院の関氏等によって計算発見されたもので、地理的に「日本のへそ」とも言える地点です。ちなみに北海道の場合は石狩山地内で、108.2kmであったそうです。
この記述から、筆者が(あくまでも)独自に読み解いたのは、以下の通りだ。
- “日本のへそ”という言葉には「・・・はっきりとは言わないけど、ここが『日本の中心』なんだよ! 察してくれよ!」という意思が込められているのではないか?
- わざわざ北海道について記しているのは「どうせ北海道だと思ったでしょ? でも違うよここなんだよ!」という自負と誤解されたくないという強い思いがあるのではないか?
というわけで、この場所が「日本の中心」である根拠は、
「日本で海岸線から一番遠い地点は日本のへそである。そしてへそとは体の中心にあるもの!」
と、独自に断定することにする。
終わりに
クマが出てこないかビクビクしながらの取材だった。ちなみに林道では携帯電話の電波は圏外だったことも付け加えておく。
評価
(5段階評価。★の数が増えるほど高い)
- 到達難易度:★★★
徒歩でなければ到達できず、クマが出没する危険性がある沢沿いの道を進まなければならない。しかし、目的地への案内は万全で迷う可能性は極めて低い。 - 日本の中心度:★★★★★
国土地理院が実際に調査したデータを根拠にしていることを評価。 - 盛り上げ度:★★★★★
市内には多数の案内板が設置されており、林道に入ってからも迷うことなく目的地へ到達できるように案内されている。また、目的地で撮影した写真を観光協会に送付することで、認定証を発行してもらえる。
アクセス
- 日本で海岸線から一番遠い地点
住所:長野県佐久市田口字榊山209-1
公共交通機関:JR小海線・臼田駅からタクシーで約25分。徒歩60分
車:中部横断自動車道・佐久臼田ICから約30分。徒歩60分